高知市は、現在NHKで放映されている大河ドラマ「功名が辻」を契機に、観光誘致策として「土佐二十四万石博」を開催している。

組織された実行委員会主体は高知県であるが、高知市としても120,000千円の補助金を出して観光客の誘致促進並びに経済の活性化を図るとしている。2004年7月に放送決定以来準備委員会の結成、実行委員会の設立、各種協賛事業の企画と進めてきたのだが、タイトルのとおりなかなか民放の取材が弱いのだがこれも当然かとしている。
主なる事業は高知城の一角にパビリオンを立て、大河ドラマ館として実際に使用された小道具や、着物、鎧なども飾られ、夫婦で功名を上げていくまでを迫力あるセットで体感できるようになっている。その周囲によさこい踊り等を楽しめるイベントステージ、あるいはふるさと交流市として週代わりで高知県各市町村の産品を扱う場所や、堀端げんき横丁と称して屋台街を配置してある。
開催期間は平成18年4月1日から平成19年1月8日までであり、これまでの実績では最大4,500人/1日程度,最少数百人という実績のようだ。
ちなみに本年のゴールデンウイーク中の人出については、高知城は倍増しているのだが、全体では8.5パーセントアップしている中で四万十川など高知市周辺は落ち込んでいるようだ。但しドラマの中でこの高知が舞台になるのが本年秋以降になるので、それからが本番になるのではと思える。

これについては来年の大河ドラマが「風林火山」に決定していることで、甲府市としてもこれを絶好の機会と捉え、高知と同じく県と共同して甲府駅北口の一角へ「風林火山館」を作り、観光誘致事業を行う事としているのだが、これとて山本勘助の生涯を描くということを考えるとやはり秋口からが本番となるのだろう。
それにしても展示館を作ったから「さあいらっしゃい」と言う訳ではなく、常に何かと連動する事が大切だと言う話を聞く事が出来た。実際の来客数から出た言葉だけにこれは重みがある言葉であった。同時にタレントを招聘する場合や、のど自慢大会を同時に開催するなど、全てに当然ながら費用がかかるのだが、一体いつ行えば一番効果があるのか等日程としっかりした事前計画の元に行う必要がありそうである。
そうなるとこの開催期間が9ヶ月と言う中途半端な期間について、この地ではすでに始まってしまっているが、今後開催する甲府市の場合については再考する余地があるような気がするのだが。例えば9月から開催して翌年の5月という形の設定であるとか、高知市での教訓を前例としてぜひとも考えてみる必要があるだろう。実際当日の説明を聞いた後の質疑の中で「これは1月終了ではなく、その後に来る方にも楽しんでいただくように設定すべきではないか」と言う質問が議員の中から出ていたが、それでこそ「風林火山館」の意義が果たせるのではと感じた次第である。
さて、著作権などの問題から宣伝すると言う事が非常に厄介なこの施設であるが、中でも一番効果があがっているのが「インターネット」による宣伝との事であった。その中でも紙芝居仕立てのホームページから会場のホームページへのリンクが最も多いとの事で、これも昨今のインターネットの普及に伴った一連の動きと注目したいところである。確かにNHKという後ろ盾はあるが、民放からの情報が流れにくい中ではこれは特筆すべき事である。しかもその費用対効果については申し上げる必要は無いだろう、当然高知県でも東京事務所などの外部出先機関に於ての宣伝活動や、その他地元あるいは東京紙と言われている新聞などによる取材広告など、その手段については数多くあるのだが、今までこの様にはっきりとインターネットの効果に言及した例は無かったに違いない。
今後この事例を検討してゆく場合においては、インターネットを利用する事は当然だが、その性格を熟知しながらいかに合理的に且つ簡易に知らしめる事が出来るかと言う事を研究しながら進める必要がありそうだ。いくら作成者自身が納得のゆくものを作り上げたとしても、それから来場していただくと言う行動までを動機付けない事には、何の意味もなさないものになってしまうのだから。

その後私共は高知城の天守閣へ向かい、往時のお城の全景や築城の様子を再現した緻密なジオラマを見た。ここでの感想は「博覧会のパビリオンよりこの城内の方が面白い」と言う単純な一言である。外にある博覧会場の内部はNHKによる映像のデモンストレーション、一方この城内のジオラマは童話アニメの世界と言った感じである。確かに対象物としては違いがあるのだろうが、一旦テレビ画面で見たもの(あるいはこれから見るもの)を改めてスティル写真や衣装だけを見せられても「へえ〜」で終わってしまうのだが、この城内のジオラマは最初から空想の世界にあるものだから、ついつい勝手に想像出来る楽しさがそこにあるのだろうか。私一人の感じであってほしいと思うが、個人的な感想としてはやはりジオラマに軍配を上げたい。まして、その場所は本物の城内天守閣であるからなおさらその対比が面白い。
そもそも高知と言えば「坂本竜馬」、「よさこい」の町である。従来から山内一豊はあまり観光や歴史の人物として取り上げられてこなかった。徳川家康が関が原の戦いで勝利を収め、その後の領地移動によってこの土佐の地を与えられてきた。しかしそもそもこの土地は長宗我部元親が治めていた領地であり、山内一豊はあくまで後からやって来た殿であったのだろう。現実、この博覧会についても地場産業関係者は止めようと言う意見が出たが、観光業者のぜひともやるべしと言う意見で行う事となったそうである。つまり山梨県における武田信玄のような存在ではなく、山内一豊は全県こぞって賛成と言う訳ではないようだ、それが為か高知県民の来訪者が今一少ないようである。観光施設であるならば、先ず地元の人が行って見て、そして親戚知人に口コミで伝わるようなものでないと他県からは来て戴けないと感じているのだが。ちなみにその姓名の読み方は「やまうち」が正しく、「やまのうち」ではないとの事である。
兎に角来年開館するであろう「風林火山館」の位置付けや、その施設のあり方について、あるいは開催日程についてなど貴重な意見を聞かせていただく事が出来たのは幸いである。甲府に戻ってから、この事例については関係する方々にぜひともしっかり伝えておきたい事ばかりであった。参考資料として各地のこのような催しについての資料を戴く事が出来たので、あわせてそれもここに掲載しておきたい。
| 放送年 | 博覧会 | 開催期間 | 主催 | 入場者等 | 事業規模(千円) | 収支 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 11 | 元禄繚欄 あこう展示館 | 11.01.09〜12.26 352日間 |
実行委員会(赤穂市) | 入場料 700円 目標 55万人 結果 57万人 |
全体事業費 502,693 行政負担 123,500 入場収入 354,090 |
|
| 12 | 静岡県「葵」博 | 12.01.09〜13.01.07 363日間 |
実行委員会 事務局 静岡市 |
入場料 1,000円 目標 100万人 結果 107万人 |
全体事業費 1,592,043 行政負担 780,000 入場収入 766,797 |
○ |
| 12 | 岐阜県 決戦関が原 「大垣博」 |
12.03.25〜10.09 199日間 |
実行委員会 名誉会長大垣市長 大垣商工会議所会頭 |
入場料 1,000円 目標 60万人 結果 75万人 |
全体事業費 911,033 行政負担 190,000 入場収入 525,809 |
○ |
| 13 | 福岡県 「中世博多展」 | 13.03.01〜12.02 277日間 |
福岡市長 福岡CV会長 |
入場料 1,000円 100万人 |
全体事業費 800,000 | |
| 14 | 石川県「利家とまつ」博覧会 | 14.03.23〜15.01.5 289日間 |
石川県 | 入場料 1,000円 結果 157万人 |
全体事業費 1,894,651 行政負担 589,226 入場収入 1,387,965 |
○ |
| 15 | 岡山県 大河ドラマ「武蔵」推進協議会 |
376日間 | 岡山県大原町 | 入場料 500円 目標 30万人 結果 14万人 |
全体事業費 113,860 入場収入 54,114 |
|
| 16 | 調布市「新撰組フェスタ」 | 16.02.28〜11.28 274日間 |
調布市長 | 入場料 600円 目標 45万人 結果 18万人 |
全体事業費 350,000 | |
| 16 | 日野市「新撰組フェスタ」 | 296日間 | 日野市 | 結果 24万人 | 全体事業費 358,320 行政負担 404,287 |
○ |
| 18 | 土佐二十四万石博 | 18.3月〜12月 約300日間 |
高知県 | 入場料 700円 目標 40万人 開催中 |
全体事業費 441,131 行政負担 120,000 入場収入 356,656 |
2006年5月29日 新政クラブ事務局 文責 野中一二
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