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兵庫県尼崎市

地方市場への転換その後

平成22年10月15日 経済建設常任委員会視察記録

2010年10月13日・姫路市 → 14日・鳥取市  → 15日・尼崎市
尼崎市視察
市場の様子

南は大阪湾に面し、北は伊丹大阪国際空港に迫る49,97平方キロメートル。人口460,245人(2010年3月31日現在)、世帯数215,859世帯のほぼ平面と言ってもよい地勢に恵まれた尼崎市は、その名の由来を漁民・海民が住む海に突き出た土地と考えられている。尼崎という地名が歴史上はじめて登場するのは、平安時代の末から鎌倉時代初めころのことで、現在の阪神尼崎駅から大物駅にかけての南側あたりが、もともとの尼崎という地名の場所とされている。

今回の視察は、せまり来る甲府中央卸売市場の地方市場化に対してどの様な都合不都合が考えられるのかという先進事例を学ぶためである。私どもはJR尼崎駅に降り立つと同時に市の所有するバスで「尼崎公設地方市場」へと向かい、そこで実際の様子を学ばせて頂く事とした。

尼崎公設地方市場では、従来の中央市場(農林水産省管轄)から平成16年発表された国の第8次卸売市場整備基本方針に沿って市場内業者による「再編検討委員会」を設置し、新たな道を模索し始めたとしている。

平成17年国による中央卸売市場整備計画の公表によると
<再編基準>
① 取扱数量が解説区域内の需要量未満
② 取扱数量が国の定める中央卸売市場の基準数量未満
③ 取扱数量が直近で3年連続して減少し、かつ基準減少率以上
④ その他、市場特別会計に対する一般会計からの繰り出し金の状況、や卸売業者の財産状況
<再編の方向>
① 市場運営の広域化
② 地方卸売市場への転換
③ 他の卸売市場との統合による市場機能の集約
④ 集荷販売面における他の卸売市場との連携
⑤ 市場の廃止、その他、市場の効率化
と言うものであった。

尼崎公設地方市場では「再編検討会議」を「再編検討委員会」に変更すると共に、4つの部会を設置し、専門的立場からの意見徴収を合わせて行ったとしている。その後合わせて19回の会議を行い、中央卸売市場から地方市場への転換を決議したとしている。

その後尼崎公設地方市場は平成19年4月1日より開設の運びとなり、現在に至っている。

尼崎市視察
市場見学の小学生たち

当日の尼崎公設地方市場は小学生による市場見学が行われていて、この様にして食育教育が推進してゆくのだろうと感心したところである。市場では市内小学生による市場見学を推進し、社会科学習の一環として、生鮮食料品の流通経路や卸売市場の役割とその機能等について理解を深めてもらうため、小学校における社会見学等の受け入れを積極的に行っている。結果市内のほとんどの小学生は市場を知っているという。

ちょうど私たちが市場に入る時歩道を歩いてくる小学生たちを見つけ、引率してくる教師たちも大変だが、場内警備員であろう方々が外まで誘導に出ているのを見て、現場主義と言うが、この様な教育の場にもそのこころがけは必要な事だと感じた。

尼崎市視察
事務所から見た福知山線現場

この市場の位置は名神高速道路尼崎インターから近く、JR福知山線に沿って建っている。2005年(平成17年)4月25日に西日本旅客鉄道(JR西日本)の福知山線塚口駅 - 尼崎駅間で発生した列車脱線事故により、運転士と乗客を合わせて107名が死亡したJR福知山線脱線事故現場にほぼ隣接した場所にあり、発生当時の様子なども聞く事が出来た。 あらためて冥福を祈りたい。

市場規模としては甲府中央卸売市場のほぼ半分の面積で、扱い品目は同様である。駐車場の配置から広く感じたのだが、実際の内部に入ると卸売場と仲卸売り場が非常に接近した感じがするなど、それなりの工夫の上に成り立っているのだと感じた。

当然市場内はコールドチェーンに対応すべく、低温卸売場が4か所整備されている。また関連店舗は1棟の中に集約されており、効率的に市場を利用できる仕組みが整っている。現在およそ800人がこの市場で働いていると言うが、卸・仲買と言った関係者だけではなく、加工場で働く人の数も相当見受けられた。つまり中小スーパーなどに対して商品の小分け配送を行うよう加工するなどの作業を市場内で一括処理して行い、その後配送まで請け負っているとの事であった。これらの様子は甲府中央卸売市場とは少し違った様子であるが、今後の市場の果たす役割をしっかり示唆しているようである。

この市場が大幅に取扱量が減少した一因は「阪神淡路大震災」であったそうだ。尼崎市も地震による被害は相当発生し、特に中小零細小売業者は発生した被害から商いを止めてしまう方が続出し、結果として市場取扱高は急減したそうである。またこの市場周辺には大阪中央卸売市場、神戸中央卸売市場などの巨大市場が立地しており、わずか車で20〜30分と言う市場間の競争は以前から相当あったと思われる。

尼崎市視察
関連店舗棟内部

その上に大手流通業者による相対取引(卸売業者と小売業者が直接商品を取引する事)や、市場を通さない産地間取引の増大は、否応なしに尼崎公設中央市場の土台を揺るがし続けてきたと思われる。 しかしこの事は全国共通の悩みであり、甲府中央卸売市場も決して他人事ではない。

ではそのような市場の事情から、今回地方市場化に踏み出した事で一体どのような利点・欠点が見えてきたのだろうか、以下箇条書きにしてみた。

メリット
尼崎市視察
セリの様子
デメリット

以上のような事が起こってきたと言う説明であった。

悪い事ばかりではない、しかし努力しないとよい事は起こらない。というごく当たり前の事が自然におこったと考えられる。

地方市場は今日入ったものは今日売れる、しかし大市場(中央市場)は今日入った物はあすのセリでなければ売れないと言う時間のロスが発生してくる。それらを有効的に考えればあながち地方市場はよくないという結論は出ないのではないか。ここでは「大卸は減り、仲卸が増加する」というおもしろい結果が出ているという、これも努力と仕事のすみ分けの結果であろう。

そして最後に「地方に変って小売が出来るようになった、しかし京都二条市場のように2面性を持てず意識の改革が出来ない仲卸には非常に難しい時代になった」としみじみと話してくれた。
当然小売りに走れば現在の取引先の小売店からは相当の強い反発が出てくる、しかし地方になったという意味を考えれば何のために維持しようとしたのかは見えてくる。

最後に一言「公設とは何ぞや」と強く言いたい。この様な厳しい言葉を頂いて視察を終了した。

尼崎公設地方市場の皆様、ありがとうございました。

 

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