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青森市の事例(コンパクトシティー)について

2005年10月4日 新政クラブ視察報告

4日・青森市→5日・青函連絡船(番外)→5日・秋田商業高校
青森市視察報告
アウガの外観

満席の便から青森空港に降り立ったときはあいにくの小雨模様であったが、市内に入って駅周辺まで来ると、かねて用意の傘は開かずに今回の視察が出来たことは実にありがたかった。市議会事務局の職員による丁寧な出迎えを受け、バスでおよそ45分。一旦庁舎で今回の視察目的である「青森における都市計画マスタープラン、及びコンパクトシティーについて」の概略の説明を受け、若干の質疑のあと駅周辺に向かった。ここではコンパクトシティー構築に向けて、その核となる建物の視察をさせて頂いた。

AUGA(アウガと読む)と言う名前のついた地下1階・地上9階のショッピング施設及びコミュニティープラザと併設の522台分の立体駐車場であるが、そもそもこの場所は第二次世界大戦の後、りんごなどの行商人達によって不法占拠がされていた場所でもあったようだ。結果として市街地再開発地区の指定を行いながら、30年ほどの年月をかけて地主さん達の了解を得、時代のニーズに合った計画として平成13(2001)年1月にこの施設の完成を見る事となったようである。

建物の内部は地下に従来から駅周辺にあった鮮魚店を中心とした「新鮮市場」が入り、レストランも併設されている。1階から4階は各種専門店がそれぞれテナントとして、あるいは従来からこの地で営業していたのであろう人々の生業の場として全て入居がされている。

5階は青森市男女共同参画課が入居し、親子の無料遊び場(特に冬場は屋外で遊べないので利用者が多いそうである)として開放されている。このプレイルームは平均一日当たり50組もの親子が利用するそうである、勿論遊具はぶつかっても怪我をしないような物がおいてあるのだが、子供だけでは入場させないと言う事だ。

青森市視察報告
図書館の様子

6階から8階は市立図書館となっている。従来はこの場所から4キロメートルほど離れた場所にあったものを、老朽化と共にこの建物に移動させたそうである。これによって一日あたり700人程度の利用者が4倍の2,800人ほどに増加したと言う事である。これは青森市が当初から「シャワー効果」を期待して図書館と言う施設をこの場所に持ってきたという読みがずばり的中した事となる。

この建物全てで年間500万人ほどの入館者があり、しかも周辺の来訪者が一日あたり13〜15パーセントも増加したというすばらしい効果を上げている建物と言う事が出来る。

 

コンパクトシティーとは

この言葉にはいくつかの定義があるのだが、その内、数点についてのみ改めてここで考えてみる事とする。

1−人口減少社会において

 国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2007年前後を境に人口は減少に転ずると言われている。また、65歳以上人口割合をみると、現在は17%程度であるが、2010年には20%を越えると言う予測がある。実際甲府市内でもすでにこのような少子高齢化現象は他人事ではなく、同時に中心市街地におけるこの現象の顕著化は、昨今の中心部小学校の統廃合の動きとも連動してくる事となっている。

 このような人口動態や世帯の変化は従来の市街地に整備された学校をはじめとする既存公共公益施設利用を非効率にするだけでなく、特に中心市街地のコミニュティの崩壊などの問題を引き起こしている。これらの事を踏まえた上で、今後は中心部におけるバリアフリー(特に高齢者に対して)の街づくりや、中心部の人口減少をくい止める行政施策が求められてゆく。

青森市視察報告
AUGA地下の食料品市場

2−中心市街地の空洞化に対して

 従来の中心市街地は、モータリゼーションの進展、事業者の高齢化や付置駐車場の矮小化などの商業環境の悪化などにより、規制を受けていない都市の区域が人口増加の伸びを上回って膨張し、それにつられるようにかつての中心部は人口密度が著しく低下し、高齢化が進んだ市街地が広がってきている。

 郊外部では住宅地の造成や駐車場完備の大型小売店舗の進出等の開発が盛んに進められ、その結果コミニュティや文化の継承と言ったその地域の特色ある街の姿を引き継げないまま中心市街地は荒廃しようとしている。郊外部に広がった新たな市街地では「町の魅力」を補うコミュニケーション作りは非常に難しく、結果としてその地域全体が顔を持たない町になってしまう危険性があるといえる。

3−既存のインフラを効率的に利用すること

 第二次世界大戦以後の我が国における都市整備は、人・物・かねの都市への集中に対し、ひたすら市街地の面的拡大及び道路・上下水・エネルギーと言った都市基盤整備で進められてきた。しかし、前出少子高齢化による都市への人口流入が減少した事、生産のグローバル化などにより都市の拡大が停滞してきた事などにより、都市整備の方向性を問い直す気運が見られるようになった。

 また従来は軽視されてきた地球環境保護という新たな役割が、環境負荷の低減、あるいは既存インフラの有効利用を目的とする都市づくりへと移行させ、低経済成長に適合した町づくりへと進めることとなった。さらに暮らす人々の要求も、豊かな自然や環境を大切にすると言った嗜好に変り、それに伴ってエネルギー効率のよい都市空間の構築を図ると言った都市整備の方向へと進み始めている。

以上とりあえず3点のみ挙げてみたのだが、いずれも今後の町づくりに対してじっくりと研究しなければならない事柄である。

今回の青森における「コンパクトシティー」構想については、最初「冬の豪雪対策」と言う独特の事から始まったと聞いた。その大きく分けたマスタープランでは、青森市をインナー、ミッド、アウターの3段階の都市構造に分けて考え、海岸線に沿って順次内陸へと区分けをする特徴をもたせつつ、開発あるいは開発抑制と言った手法で町づくりを推進してゆくとしている。

その内インナーと呼ばれている部分については「中心市街地活性化」及び「冬期バリアフリー計画」、「まちなか居住の推進」が中心事業として位置付けられている。

そして第二層をなすミッド地区では、郊外型ショッピングセンター進出への対応や、市街化調整区域などを区画指定に盛り込むことでインナー地区での都市形成に対して準備地区のような位置付けを行っている。

そのもっとも内陸にあるアウター区域は、青森自動車道をバリアーとして郊外部の保全に努め準都市計画区域制度の活用と景観法の活用で、豊かな自然を守ろうとしているのが特徴となっている。

特にインナー地区の交通手段としては、すでにある公共交通(JR東北本線、JR津軽線)を使い、新駅の設置あるいはこれと接続するLRTを想定しているようである。確かに海岸から幅約1キロメートル程度あるインナー地区ではその中心にJR線が走っているとはいえ、500メートルほどある幅は歩行可能限度ぎりぎりであるので、一定のその他の交通機関がほしいところだろう。

いずれにせよ今回の視察で見たAUGAについては、その初期の目標は充分に達成している事が理解できた。これを一つのきっかけとして、青森市は益々人に優しいコンパクトシティーを目指して行くに違いない。

余談だが、青森市は年間およそ30億円もの「雪捨て」費用を負担していると言う。この費用についてはとても甲府では考えられない費用であるが、ここでは海水の温度差などを利用してこの自然の猛威と戦っていると言う。これからはテレビなどでニュースを見ても、その気持ちが違ってくる事だろう。

青森市の皆様、大変お世話になりました。

2005年10月10日  新政クラブ事務局  文責 野中一二

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