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東大阪市の下水・雨水対策について−新政クラブ視察報告

2005年5月11日

11日・東大阪市→12日・広島県廿日市市→13日・広島市立安佐動物公園

今回の視察第1日目は大阪府東大阪市での事例検証となった。この事例については我が甲府市においても、最近の都市化の進行とともに「内水対策」の重要性が問題となり、その対策の一例として「学校などのグラウンドを利用して雨水を一次貯留する」と言う事に着目したのである。

東大阪市視察報告
東大阪市役所委員会室での研修

甲府市では昨年の台風襲来の折、善光寺町地内においてがけ崩れが発生するなど、幸い生命にかかわる事故ではなかったが水害対策の抜本的検討を迫られる事となってきている。特に市内中心部を流れる「濁川」については、近年の局地的短時間の豪雨の際、相生小学校北側・東側、城東地区福祉プラザ南側、合流する大円川付近などで都市型冠水被害が多く発生しているのが現状である。その対策として、一時的に大量に降った雨水を貯留し、一定の時間をかけて放流するといった仕組みが各地で検討実践されているところである。

わが国におけるこの施設としての最大のものはおそらく東京都下水道局が行っている「神田川」の地下に直径12メートルのシールド工法でのトンネルを掘り、大雨のときに貯留すると言う施設ではないかと思われる。今回の視察先である東大阪市においても、直径4メートルの貯留管を下水管の下におよそ4キロメートルも埋設してある(増補管という名目で敷設してある、しかもこれらについては流域下水道という事で東大阪市だけではなく、周辺地域の自治体が共同で行っている事業であるので予算的にも成り立っているのではなかろうか)と言う事だが、この工事については莫大な費用がかかり、わが市の財政規模ではとても施工するには至らないのかもしれない。そこで従来から「学校などの大規模面積を必要とする施設の地下に一時貯留施設を作る」と言う事が唱えられてきているのである。

東大阪市の雨水・下水道状況

人口512,152人、世帯数212,593世帯(平成17年4月1日現在)と言う規模の市域の内、行政区域として6,181ha、内市街地面積4,940ha、一部分流式を含む整備区域が4,960haとなっている。日本全国での下水道普及率が67パーセントであるので、東大阪市の下水道普及率は非常に高く、ちなみに甲府市は都市計画区域内での整備率が97パーセント程度であるのでその上を行く数値である事がわかる。

ではなぜこの様な普及率となっているのだろうか、どうもそのカギをとくヒントはそのほぼ平坦な地形にあるようだ。しかも処理後河川放流を行うとその放流水は大阪市を通って海に流れてゆく事となり、事業としても大阪市の治水対策と同時に進行していったのではないかと考えられる。ましてその地形が河内平野独特のフラット構造なので、それらは水害対策と同時に行われているのである。よって構造的には雨水と汚水を同時に処理する「合流式」と言う方法が自然と執られるようになっており、構造的には「ポンプアップ」により強制的に放流してゆく事となっている。但し、一部生駒山系に沿った場所については自然放流が出来ること、計画年代が新しい事などの理由で分流式による整備も行われている。

東大阪市視察報告
左側グラウンド、右側排水溝

このうち特に雨水については「浸透」と言う概念を強く持っている、つまり放流だけでは膨大な河川流量が必要となり、それだけでも多額の土木費が必要とされてしまう事と、隣接都市に対する配慮から「降った雨は降った場所で地下へ浸透させる」と言う概念が働いているのではないか。ちなみに平成15年末で治水対策としての総貯水量は焼く11万立米であるとしている、その内訳は貯留施設8,000立米+増補管77,850立米+校庭貯留14,820立米+河川14,000立米である。その他では大阪府事業として55,000立米、開発行為等の負担施設として310,000立米等があり、これら全ての貯留能力により概算値ではあるが従来25o/時間で浸水していたものが40o/時間と増加していると言う説明であった。

校庭貯留施設とは

東大阪市が行っている校庭貯留施設は「下水道雨水貯留浸透事業」として平成16年度までに18校のグラウンドなどで施工されている。これは「学校のグラウンドに降った雨水を外に流さず内側で処理する」と言うところから来ている施設である、つまり従来は大雨になると校庭から溢れた雨水が学校周辺に流れ出し、あたかもそこからの雨水で周辺が冠水するといったイメージを少しでも解消する事。また、ここからの雨水について自前での処理が出来れば、開発行為負担等での説得の材料提供にもなるといった思惑も有ったのではないか。いずれにしても市が事業として本気で内水対策に取り組むと言う姿勢を、市民に対して表現できると言う事が次の効果を生む事となったのであろう。

東大阪市視察報告
改修済のグラウンド

ではその工法はどのようなものかと言うと、一旦校庭を深さ50センチメートルほど掘り下げ、その土を使い上水汚泥で作られたボール状の耐水性団粒構造土に作り変え貯留率の高い土壌を形成させ、その上に同様ではあるが表面舗装に適した構造の表土を盛って仕上げを行っている。この方法によって降雨時には表土から速やかに貯留能力の高い層に雨水は浸透し、一定時間をかけて蒸発、もしくは浸透拡散するといった方法で外部に流出するのを防ぐと言うグラウンドになるのである。また校庭の周囲などではパイプを埋設させ一定の地耐力を保持しながら雨水を貯留するといった技術なども同時に施工することで、校庭と言う空間を最大限利用しつつ雨水を貯留させる複合的な技術である。
参考ホームページ:「サンエコマック ソイルプレミックス舗装,リサイクリング・プレ工法,他によるグラウンド・運動場等、都市型社会の土壌再生(団粒構造化)システム」

東大阪市では過去に発生した洪水にその教訓を見出し、「治水」に対して戦ってきた歴史を持っている自治体である。確かにそれぞれ独特の地理的要因や、人口などの地勢的要因は有るのだが、それらを克服する強い意志と指導力があれば「為せばなる」のであろう。市役所においては、23階の展望レストラン(民間委託による運営)でおいしいアイスコーヒーをご馳走になったのだが、この建物は合併市域の中心ではないようで、一部の住民からは苦情も出ているようだ。それにしても立派な建物であった。

2005年5月14日  新政クラブ事務局  文責 野中一二

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