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環境・水道常任委員会の近畿地方視察

2004年10月6日〜8日

今回の甲府市議会環境・水道常任委員会の視察は、2004年10月6日、7日、8日の三日間で行い兵庫県明石市(ごみ有料化と分別収集・ごみ収集の民間委託)、奈良県大和郡山市(ペットボトルリサイクル施設)、京都府八木町(食品廃棄物・家畜排泄物からのバイオマスエネルギー活用)であった。
平成16年10月9日 甲府市議会議員 野中一二
この文書は野中一二個人の視察感想文です。

京都府船井郡八木町の事例(10月8日)

この八木町で行っている「家畜糞尿及び食品廃棄物によるバイオマス発電事業」については、政府が提唱している「バイオマスジャパン政策」にのっとり、1997年から開始している事業として国内ではすでにかなりの知名度を誇っている事業です。当初計画としては農林水産省がそのけん引役となり、八木町長の視察の経験からオーストリアで行われている事業をこの地に導入する事としてはじめられたとしています。この事業の解説等はインターネット上でかなり取り上げられており、その計画数値などもすべて検索する事が可能です、しかし実際は「百聞は一見にしかず」であり、この地で無ければ出来ない事情がかなりあったようです。

農林水産省のバイオマス・ニッポン ホームページbio_panf.pdf があります
設置したメーカーのホームページ
これらによる中では、データとしては上記八木町のホームページ(八木バイオエコロジーセンター)がお勧めでしょう、しかし設備の全容はやはり設置したメーカーさんのホームページがわかりやすいようです。それぞれ一度ご覧になることをお勧めいたします。

BIMA消化槽
BIMA消化槽

そうした中での視察で、しかも当日は台風前の秋雨前線が大量の雨をもたらしてくれました。曲がりくねった保津峡を一直線に進むように引かれた線路を京都駅から走る事約40分で八木町に到着です。残念ながら車窓からは紅葉の美しい山肌を見ることもかなわず、ましてや駅などではただただ雨宿りでしたが見慣れぬ景色と言うのは心がうきうきしてきます。

八木町の議会事務局の方が駅から送迎をかって出て下さいました、およそ15分でのどかな農村風景に遠目でも解る醗酵タンクが迎えてくれる。この施設は財団法人八木町農業公社が八木バイオエコロジーセンターとして運営しており、正社員4名と臨時雇用の2名で管理している。平成9年の開設から平成13年の増設と、順調に運営が続いているようだが、運営費年間6,500万円であり,その内40パーセントが排水浄化施設の薬剤費等にかかっているため実際は1千万円の赤字だとか。

その為この排水を液肥として販売(もしくは排水として処理ではなく、肥料として土壌還元)する事が出来ないかと言う事が目下の課題であるとの事。水稲栽培に使えると言う事になればかなりの量がはける事となるのでしょうが、施肥時期が限定されているのでそれまで貯蔵する施設が必要である他、その有効性についても目下研究中であるという話であった。

ここの施設で投入している原料(家畜糞尿・食品廃棄物等)は、乳牛1,200頭分、肉牛600頭分、豚1,500頭分及び豆腐工場からのおから9トン/日、日本ミルクコミュニティー(旧雪印乳業との事)からの食品廃棄物としてパイプラインの洗浄廃水と期限切れ商品6トン/日が主なる物のようです。

受け入れ単価として乳牛1頭に付き15,000円/年間、肉牛6,500円/年間、豚1,700円/年間がかかり、食品廃棄物としておからは7,000円/トン、廃液は19,000円/トンを受け取り,この施設運営費に充当していると言う事だった。

またこの施設は堆肥布施機を持っており、10aあたり2,000円でここで生産された堆肥を散布しているとの事。これも時期が重なってしまい、農家の方にとっては大変な作業になってしまうのでその共同化の一環と言う事なのだろう、実に合理的である。

なぜ乳牛の排泄物と肉牛の排泄物が単価が違うのか、これは畜産に縁の薄い我々が感じる素朴な疑問であるのだが、その含水率が違うので、ここでは肉牛の排泄物は直接堆肥槽に投入し、一次醗酵をさせる事としているようである。

一次醗酵層
一次醗酵層

八木町では稲わらを乳牛の畜舎に敷いているようだ。だから受け入れタンクの中には粉砕機が入っていて、2〜3センチ程度にまでそのわらを粉砕してしまう。そうしておいて、いっしょに醗酵させるとの事である。

ここまで畜糞を運んでくるのに二種類の方法があり、一つはバキュームカーで運んでくる、もう一つはコンテナで運んでくる。これは、畜舎の構造で、乳牛を並べて紐でつないで飼育し、床すべてが水で流すようになっている場合はいきなりスラリー状になって運ばれてくるから、バキュームカー。もう一つは一定の室内で勝手に牛が歩き回れるようにして飼育している場合は、コンテナ。この様に考えればよいであろう。ちょうど見学中にコンテナで運ばれてきたものが受け入れ口に投入されており、受け入れ口の周囲には、わらがへばりついていた。

そうした中ではパイプラインで搬送しようとするとそのパイプに詰ってしまう恐れがある、つまり廃水処理にかかる単価がない分だけ肉牛のほうが安価で処理できると言う事になる、もっとも牛の場合は体内で一次醗酵を行っているので実際はこれが二次醗酵にあたるそうだが。

その後およそ30日間一次醗酵させ、そして二次醗酵槽に運ばれてから65日間の醗酵期間を置いてから堆肥として販売されている。この段階ではほぼ無臭状態で綺麗な堆肥になっているため、最近では京都近郊のホームセンターなどでも家庭用の堆肥として販売されているようである。

本題の発電であるが、この施設全体で3台の発電機が有り、合計5,058kWh/1日の能力があり、若干では有るが余剰ガスも出ている。同時に冷却用に 30,552MJ/1日の温水が発生しており、その熱によって消化槽を加温している。この仕組みについてはメーカーのホームページに詳しく解説があるのでここでは避ける事とする。

発電した電力はこの施設で使用するほか、隣接の八木町下水道最終処理センターでも使用され、残りを関西電力へ売却している。

関西電力でも同じだと気づいたのは、ソーラーパネルによる売電に関しては11〜12円でそれぞれ電力会社が買い取るものの、この様なバイオ発電についてはいまだ事例が不足しているのかその買取単価が実に安いのである。ちなみにこの施設でも売電はやっと7.9円/kWhという事の様であり、平成13年まではなんとたった3.8円でしか売却出来なかったそうだ。

これから各地で事例が数多く出てくることで、この売却価格の不合理さが解消出来るようになってほしいものである。ちなみに我々が電力会社から買っている単価はおおむね25円/kWh程度ではなかろうか。今後はぜひこれだけのガス発生量を利用して「燃料電池」による発電を行ってほしいものだ、さすればこの倍以上の電力は調達できる事と成るであろうし、温水熱源としてもそのカロリー数は飛躍的に増加するであろう、将来楽しみな施設である。

二次醗酵層からの搬出
二次醗酵層からの搬出

甲府市にこの類似の施設は可能か。と言う事に付いてであるが、現在のこの施設は周囲がほとんど農家である事が一つの条件となっているようだ。つまり脱臭設備がないのである、これは実に辛いものがある。都市化が進み周辺が住宅が立ち並ぶような事があった場合は、間違いなくこの施設に対して「迷惑施設」と言うことで操業停止処分等の行政命令が出されそうである。

少なくとも現在の甲府市域には残念ながらこの様な良好な環境はない、同じく山梨県内でもこの畜産排泄物利用の堆肥施設は数ヶ所あるのだが、それらすべてが同一条件で、つまり周囲がほとんど畜産農家であると言う環境の中にある。もしこの施設に脱臭設備をつけることとしたら、おそらくその経費でこの施設建設を考え直してしまうかもしれない。と言う事で、地の利を生かした施設である事は疑う余地はない。

八木町の関係者の皆様、ありがとうございました。ますますこの施設の利用価値が高まりますよう願っております。

 

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