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神戸市(建設局下水道河川部)−新政クラブ視察報告

2005年2月15日

15日・神戸市→16日・加古川市神戸製鋼所

2004年11月30日付け神戸新聞トップを飾った記事によると、神戸市は下水処理の過程で出る汚泥から、微生物と水を使って高濃度のメタンガスの抽出に成功したとしていた。このガスは天然ガスとほぼ同じ成分で、CNG車(ガソリンの代わりに家庭でも使われている天然ガスで走る自動車)の燃料などクリーンエネルギーとしての利用が可能となり、実験が行われている神戸市東灘区の処理場だけで年間、一万キロを走行する乗用車二千台分の燃料に相当するガスを精製できる見通しで、同市は近く実用化に向けた実証実験に乗り出すと言う内容であった。

この記事を知り早速問い合わせた結果、今回の日程ならばこの試験プラントが稼動している状態を見学させていただけると言う事であった。また下水汚泥から抽出したガスを自動車燃料に活用する取り組みは全国でも初めてであり、しかもこの事業が神戸市復興10周年記念事業のひとつとして位置付けられていると言う事から、昨年の新潟県長岡市の視察に続き「神鋼環境ソリューション」様のお世話も戴き、現地を見学させていただく事とした。

神戸市視察報告
左手遠方にクリーンセンター
手前は屋根下が沈殿池、生物醗酵糟
屋根上はバスケットコートとして市民開放、緊急時はヘリポート

神戸市では昭和36年(1961年)からスタートした下水道事業に伴い、発生した汚泥を六甲山中への埋め立て、海洋埋め立て、焼却後アスファルト混入・インターロッキングの製造などと言うように処理をしてきた経緯があった。しかし焼却についてもその場所まで搬送するのにコストがかかると言う事で、汚泥の減量化策として微生物による発酵作用を利用してガスと水を取り出していた。しかしガスに不純物が混ざることから、全体の七割をタンクの加温熱源に使う以外は焼却処分していた。

今回訪問させていただいた東灘処理場は、処理能力32万立方メートル/日(現状約20万立方メートル/日を処理している)の施設でおよそ35万人の神戸市民をカバーしている施設である。ここで使用されている電力については、近接の神戸市クリーンセンターでの余剰発電電力を90パーセントほど使っていると言う事であった。その金額が約6千万円/年間であるからこれは大きい。また阪神淡路大震災においてほぼ全壊状態となったものの、隣接している運河を沈殿池として利用しつつ、船を浮かべて最終沈殿池として利用したりしていたそうである。事実上の完全停止は約3ヶ月と言う短時間で済んでいたとの事だが、その間の苦労は想像を絶するものがあったに違いない。この運河利用と船の活用については「いざとなれば何とかなるものです」と言う簡単な言葉であったが、その裏には数々の物語が隠されていた事であろう。

また神戸市においてはその組織が「建設局下水道河川部」となっている。これは組織の都合上また市域の特性から河川が天井川となっているため放流が出来ず、道路建設と同時に下水道敷設が行われてきた事から、関連があったとしていた。我が甲府市においてはこの2月14日から下水道部は水道局と同じ建物に入っているのだが、「上下水道一体化」と言う概念も全国一律ではないようである。

神戸市視察報告
ガス精製設備

消化槽(醗酵タンク)は既設2基、新設のものは現状1基である。しかしこの既設のタンクは震災による被害があり、かろうじて使っているもので、新設タンクのすぐ隣に同型の物が1基建設中であった。ちなみにこの消化槽は10万トンの水処理量がある高さ38.1メートル、最大直径25.4mと言う卵形をしており、一基あたり約20億円と言う事であった。建物の高さとしては6階建て程度だろうか、最上部まではエレベーターで上がれるようになっており、そこからは神戸市内が一望できる。当日は残念ながら小雨のためあまり遠望は効かなかったが、実に爽快な眺めであった。

神戸市視察報告
充填中の様子

さて今回の実証プラントであるが、通常の消化ガス(発酵によって得られるガス)はメタン成分(CH4)が65パーセント程度しかないのだが、それを98パーセントまでその比率を上げて使用している。これによって天然ガスとほぼ同等のエネルギー源として使用する事が可能になっている。ここでの能力は1,000立方メートル/日と言う事で当面は2台の公用車及び市営バスに充填し、実証を続けてゆくとしている。このガスにはヘアリンスに含まれる「シロキ酸」(シリコンから発生するガス、一部の樹脂(ABSなど)を溶かす恐れがある。当然除去装置は開発されている)が微量だが含まれているそうで、これらが実際の自動車に対して悪影響を及ぼさないかなどについて、実用化に向けて進めてゆくとしている。エネルギーとしては都市ガス(13A)が10.750kcalに対して、このバイオガスは9.300kcalと言う熱量であるので殆ど遜色がない。この施設で処理排出している下水汚泥は60t/日であり、ここでの消化率が45%、汚泥中有機物比率が65%と意外に高いのだが、これは醗酵時間とその効果を考えて割り出されたものとしている。また理論上は下水処理が続く限り精製でき、成分も安定しているので今後とも有効利用に向けて進んでゆきたいと言う見解を示している。

神戸市視察報告
運河と並木(アーモンドの木、季節にはアーモンド祭りを開催)

視察の最中であるが、この処理場の担当者は「燃料電池」についても一定の見解を示していた。確かに燃料電池の導入によりこのガスから水素を抽出し、醗酵タンクを加温する温水を供給しつつ電力を得ると言う方法も考えたのであろう。しかしそのコスト対効果を現状の燃料電池の金額からすると、これは採算には乗ってこない。しかし、この様な施設にこそ燃料電池の導入を図ってゆく事が国策として必要なのではないか。ちなみに2月16日は「京都議定書」の発効日ではなかったか。国土交通省は「ロータスプロジェクト」としてこの下水処理場からのエネルギー有効活用を推進していたはずであったと思うのだが。地球温暖化というかつて人類が知りえなかった規模の大きな異変が起こりつつある今日こそ、この様な地方自治体独自の活動に対して、市民ももっと目を向けてほしいものである。そして自らが環境を守るにはどのような事が出来るのか、今は何が出来るのかと言う事について取り組む必要があろう。

神戸市東灘処理場の場長さんを始めとして、大勢の皆様から貴重な解説を戴いた事、あらためてこの紙面で御礼申し上げます。ありがとうございました

2005年2月17日  新政クラブ事務局  文責 野中一二


2005年7月29日東京ビッグサイトの「下水道05」展を視察の折に神戸市からこのバイオガスを使ったバスが出展され試乗会が開催されていましたので、視察記事に写真を掲載しました。

「ロータスプロジェクト」とは、下水道技術開発プロジェクト(SPIRIT21)の2番目の技術開発課題として下水汚泥資源化・先端技術誘導プロジェクトです。平成16年6月7日(月)甲府市議会で野中一二の質問に含まれています。

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