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第三世代の製鉄−新政クラブ視察報告

2005年2月16日

(株)神戸製鋼所加古川製鉄所

15日・神戸市→16日・加古川市神戸製鋼所
神戸製鋼所加古川製鉄所視察報告
製鉄所のシンボル高炉

昨日の神戸市における下水処理場バイオ天然ガス施設視察に続き、本日は株式会社神戸製鋼所加古川製鉄所を訪問し、最新の製鉄技術について研修させて頂くことが出来た。これについては過日の報道で「溶鉱炉が変る」と言う内容のテレビを見た事から、今回の神戸視察に是非加えたいと思い、願い出た結果快諾してくださった経緯がある。

研修した株式会社神戸製鋼所は、かつて一時代を築いた鈴木商店神戸製鋼所として創立され、今年100周年を迎える歴史を持った会社である。その中でも基幹工場である加古川製鉄所は1968年稼動と言う歴史の工場であるが、570万平方メートルと言う広さ(3.5キロ×2.5キロこれは甲府の市街地で言うと甲府駅から山梨学院大学、千秋橋から蓬沢までの広さと理解して頂きたい)の中に高炉が3基立っている姿は圧巻である。しかもおそらく一番市街地に近い製鉄工場ということで、すでにある10%の緑地帯を20%にするべく努力しているとの事だ。しかし昨年の台風の連続襲来によりかなりの緑地が枯れた状態になっているが、春の芽吹きによって再生している樹木を選び、その後再び植樹を続けると言う事であった。

また一歩海にでれば瀬戸内海国立公園ゆえ厳しい排水規制を敷いているため、どうしても一旦工場内に入った水は処理して排出しなければならず、研修当日の雨模様と重なり工場内は水溜りが出来ていたのだが、これも環境保護のための水溜りと言うのであれば見方も一変し、野口雨情の歌まで口から出て来そうであった。鉄を扱う工場は宿命的に建物などが酸化鉄に覆われてしまい、いわゆるさび色一色に見えてしまうのだが、これぞ鉄色だとばかりに巨大な設備が並んでいる姿には産業の源としての鉄の強さが見えてくる。

神戸製鋼所加古川製鉄所視察報告
ITmk3全景

今回はその「製鉄」と言う100年以上の歴史の中で基本であった「高炉」による製鉄方法から、あたかも「平炉」(この言葉は本来ない)とでも言うのか、画期的な第三世代の製鉄方法について、「新鉄源プロジェクト本部」次長さんよりご説明いただいた。

「ITmk3」と呼ばれているこの方法は、従来高炉・転炉を使って製鉄していたものから、鉄鉱石と石炭を円形の回転炉に入れ、バーナーで燃料を加える事で粒状の鉄とスラグに分けて排出させると言う実にシンプルな工程の物である。簡単に言ってしまえばこれで終わりなのだが、この方法の何が優れているのかを考えていただきたい。

神戸製鋼所加古川製鉄所視察報告
ITmk3の内部
この光にはぞくぞくするものがあります

従来鉄は最低でもトン単位で計測されて取引されていたのである。つまり高炉を使った製鉄方法は、一旦火を入れると24時間365日とめる事が出来なかったのである。しかしこの手法では直径6メートルほどの円形テーブルが回っているような形状の炉である、つまり止めようとすればいつでも止められ、スタートしたいと思ったら余熱時間さえあればいつでもスタート出来るのである。極論を言うと8時間の定時労働者が夜勤なしで製鉄と言う作業に従事できる、あるいは石炭の種類(高炉ではコークスを使うため、高粘炭しか利用出来なかった)を選ばずになんでも来いと言った状態で製鉄出来てしまうのである。これによって様々な問題が解決してくる部分があることは言うまでもない、これこそ鉄によって培われた現代のスピードが、あらためて鉄の世界に還元されてきたとも言えるのではないか。

神戸製鋼所加古川製鉄所視察報告
ペレット状にした鉄鉱石と石炭

同時に環境に対する負荷についても、二酸化炭素発生量が約20%ほど削減される事となると言う。これらに加えて原産地でのこの加工が1次加工として出来るならば、輸送手段もかなり変化する事になろう。つまり輸入するものが粒状の鉄(お菓子のナゲットに似ている事からナゲットと呼んでいる。私としては不ぞろいの大豆とでも表現したい大きさのものなのだが)だけになり、国内でスラグを処分する必要がなくなるのだ。そして要望に応じた品質の鉄をグラム単位で製造する事も不可能ではなくなる、まさに巨大鉄社会の軽薄短小化である。

勿論良い事ずくめというのではない、この技術を持って鉄のニッチを埋めて行けるのではないか。従来型の高炉がやはりコストパフォーマンスから見ても現状充分且つ最高のものであろうから、それとこの第三世代の技術を上手に組み合わせる事で、製鉄という裾野の広がりを期待するのが得策な様だ。これからの製鉄業界に何が起こるのかは全く想像しがたいものがある。現在の中国ブームがいつまで続くのか、地球的な資源戦争の行方は一体どのような結末を見るのか。それらの動きをじっくりと見極めつつ、常に最新の情報と技術を武器としてこれからも戦い抜いてほしいものである。高炉、電気炉、第三世代炉と、様々な情報を提供し、解説いただいた次長にあらためて御礼申し上げたい。

帰路の余談であったが、社内で「ITmk3やないやろ、ITmk0やないか」と言った話が出たそうである。つまり製鉄技術は日本で古来行われてきた「たたら」から、殆ど進化していないと言う話である。実際この第三世代炉で、燃料としての石炭を「炭」に置き換えたらそうなってしまうのである。但し日本国内には需要に合うだけの膨大な炭はない、ましてや例えコストが合ったとしても、エネルギー収支的には絶対似合わないだろう。それにしても古来からある「たたら」と言う製法は実は理に適っていたのだ。日本万歳、神戸製鋼所万歳だ。

2005年2月17日  新政クラブ事務局  文責 野中一二

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