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会派視察 松本市

2003年10月14日

「中央西土地区画整理事業・町並み環境整備事業」について

中町の通り
中町の通り

平成15年10月14日、新政クラブ会派視察として「松本市」を訪問した。

ここでは昨年終了した「中央西土地区画整理事業」及び「街並み環境整備事業」の二つの都市整備事業について、担当の建設部まちづくり推進課職員より説明を受けた後、3時間半に渡り市内を同行して、それぞれのポイントについて丁寧な説明を頂いた。また中町においては『中町(蔵のある)まちづくり推進協議会』の池田委員長様にも、住民の立場としてこの計画に対してどのようにかかわったのかを説明いただいた。改めてこれらの丁寧なる対応に対して感謝の言葉を述べ、報告に入らせていただく。

松本市は長野県第2の都市である、人口は208,000人を数えその世帯数は82,000世帯であり、昭和40(1965)年より少しづつであるが増え続けている。ほぼわが甲府市と同様の推移であったが、この数年間は逆転しているようである。地理的には盆地構造でこれも甲府市と類似、しかし決定的な差としては大都市圏(東京・名古屋・大阪・福岡などを示す)に対して一定の距離があると言うことではなかろうか。

中央西線の延長上にあり新宿まではおよそ3時間半、名古屋まではやはり3時間近くと言ったこれらの地域特性がこの町を形作る大きな要因となっていることは否めない事実であろう。この町の中心部にはパルコがあるのだが、ここでの若者集客力は周辺の町村からの集客を含めかなりに上っている。この事については甲府と新宿はわずか1時間半と言う事実と大きく違っている所であり、若者の集客と言う点では東京が控えている現実は商業、特に小売業にとって厳しい現実となっていると感じられた。

中町蔵の会館
中町蔵の会館

松本市は明治21(1888)年に大火に見舞われている、この折多くの土蔵が焼け残ったことから以後土蔵の建築が盛んになり、第2次大戦中空襲にも遭わなかったことから町並みの中に多くの土蔵が点在している町となった。いわゆる戦災復興が無く、都市計画という概念についても昭和40年代後半からの急激な都市化の波に対して一定の住民との協調の中からスタートしていることから、全市的な面整備は遅れをとっているものの、国体開催を期に特に中央本線松本駅前からの開発が進んでいったようである。

その後取り残されたような形となった中央西地区において区画整理事業に対する住民からの要望が数多く上がり、20年かけて昨年完工したのがこの区画整理事業と言うことになる。同時に進捗していったのが、同じく商店街の地盤沈下に頭を悩ませていた中町一帯で再開発計画が起き、近代的な町に改装するのかそれとも蔵を残すのかと言う議論の末、『中町(蔵のある)まちづくり』を推進すると言うことで方向を見出したと言う事である。

 

中央西土地区画整理事業

区画整理面積約12ha、事業内居住者1,200人、土地所有者321人、施行期間昭和60年度〜平成14年度、総事業費約300億円。この事業の概要であるが、事業終了時でも総人口は変らず微増、民間投資額約600億円、一体これは何を意味しているのか。(中央西土地区画整理事業ホームページ

セットバックした歩道
セットバックした歩道

従来街路事業及び区画整理事業を行うと必ずと言ってよいほど人口は減少してしまう、行政では人口が減少し住民税が減少するが一方で新規建物の建築により固定資産税が増加することで税収は基本的には増加する、このような論法で数々の事業を行ってきているのである。この松本市の事例ではその両方が増加しているのである、しかも公共投資額の倍と言う民間による投資がこの地区で行われたことに対して、これから事業をしようとしている事業者ならびに現在進捗している事業を抱える担当者は大いに参考にして頂きたいものである。

ここでの特徴ある事業は行政が果たした徹底した基盤整備の努力である、中心市街地に不可欠な駐車場を無造作なパーキングビルとせず、1階部分を貸し店舗とし、その外観を一見駐車場と言わせないような建物にすることで、この無味乾燥化し易い建物に息吹さえ与えているのである。

或いは中央部を通過する道路についてはその歩道幅を25メートル部分については7.5メートルも取り、せせらぎさえ演出している。また16メートル道路については3メートル幅の歩道にして尚且つ建築物のセットバックを1階部分については3メートルも取っている、これにより道路については一定の景観と日当たりを確保しつつ歩行者重視の姿勢を明確に打ち出しているのである。

水路のある歩道(区画整理事業による25m道路)
水路のある歩道

この3メートルのセットバックについては当然住民の協力をえるのには並大抵なことではなかったようである、その証拠とでも言うべきか一軒だけセットバックはしたものの歩道上に自身の花壇であろうか作ってあったのが印象的だった。

とにもかくにもいったんは駅前の商店街に流れてしまった消費者たちを再びこの地に引き戻すことが出来たそうであるが、それ以上に町が持つダイナミズムと優しさが感じられる街の姿がここにあった。このようなまちづくりが進むことで、松本市にはもっと多くの人が来るに違いない、その上でここは「ふるさとの顔づくりモデル土地区画整理事業」と言う副題がついている意味が良く理解できた。

 

町並み環境整備事業

中町
中町

そもそもこの松本市は城下町として、一方で善光寺街道(北国西街道)・伊那街道(三州街道)・糸魚川街道(千国街道)の交差点という地理的にも重要な場所としての宿場町としても栄えていた、その後の明治の火災(前出)で一定の町の景観が出来上がっていたと考えられる。

その事が災いするのだろうか、一方通行が多く、近代自動車による人々の移動に対してはかなりの制約があったと考えられる。つまり接道(住宅が道路に面していること、現在の建築基準法によるとすくなくとも4メートルもしくは4.75メートル以上の道路に接していないと建築物は立てられないこととなっている。この事は防火・救急と言った日常の安全性確保と言う大前提からでていることで、そのためには接している道路の中心線からのセットバックは自分の敷地のみならず一定の幹線道路に至るまでの住民の合意を取り付ける必要がある)条件についてかなり厳しい地区がこの松本の中心部であると言うことになる。

しかし其処には他に類を見ないような町の原型が点在しており、これを資源として利用することの方がこの町の魅力を引き出すことができると考えた結果なのだろう。この事業の実施区域は大きく分けて3ヶ所であり、それぞれ中町(蔵のある)まちづくり事業(6.2ha)・お城下町まちづくり事業(6ha)・お城東町まちづくり事業(17.4ha)と言う規模になっている。今回の視察ではそのうち中町・お城下町を中心とした視察をさせていただいた。

フラットな道路
フラットな道路

この中町商店街は駅周辺の基盤整備による大型店の相次ぐ出店や郊外型店舗の進出により、中心市街地の魅力は薄れ、集客力も低下していった、対策として古くからある資源「蔵」を活かしたまちづくりを図るべく、松本市によるまちづくり基本構想を作成し、平成元年には地区住民の受け皿としての「中町(蔵のある)まちづくり推進協議会」が発足。同時に「街なみ環境整備事業」の採択を受け、通路整備、公衆トイレの改修、小公園整備、地区の集会所としても使える「蔵の会館」などの地区施設整備をし、電線類地中化事業を最後に平成13年度を持って完了している。

ここでの特徴はなんと言っても「ファサード(建物正面)改修費の1/3補助」である、これにより住民自らの手で次々に古い蔵がよみがえり、それをきっかけにまちづくりが次々と進んでゆくこととなったのである。そしてこの最後の電線地中化工事にあたり変圧器を一部公園などの施設に組み込むことでここでは路上に見ることができない、同時に路側帯(普通は白線を引くだけもしくはグリーンに塗装されたものを見かける)を御影石で作り、その間の舗装路面を浸透性アスファルトを使うと言った手の込んだ方法で行っている。当然この道路には段差が無くこの御影石の部分も車両は通行できるのだが、駐車する場合もこの上まで乗り上げて車を停めているのはあまり見かけないようである、その上車のスピードも自然と落ちているというが、実に徹底したユニバーサルデザイン化の一つである。

下町会館となりの薬局
下町会館となりの薬局

お城下町まちづくりは「下町会館」という実にユニークな町会会館をそのファサードを残しながら曳き屋(建物の基礎部分からいったん切り離し、他の場所にその土台を新たに作り直した上で建物ごとそっくり移築する)と言う手法で道路面に残した部分から調査に入った。当然そのとなりにある写真館・薬局についてもその面影を無くすること無く、町並みの一角として連続して見えてくる大正ロマンの香り漂う町として再現されてしまったのだ。

特定公共賃貸住宅
特定公共賃貸住宅

其処から女鳥羽川に向かってゆくと特定公共賃貸住宅が新しく立っている、この住宅を作った折国土交通省の担当者は「簡単にはうまらない」と言ったそうだが、募集してみるとあっという間に満室になってしまったそうである。これは旧松本市役所の建物に雰囲気を似せて作ったもので、そのロケーションと利便性のよさと言う現実を見せられたものと言えるであろう、これからの中心市街地における公共住宅の一定の方向性を示していると言っても良いのではないか。

女鳥羽川にかかる一ツ橋もその歩道部分を増設し、欄干にはガス灯を大正ロマン風にデザインした素晴らしい街灯がついている、きっと夏場は夕涼みに出る地元の人でにぎわうに違いない。それと交差して川沿いには縄手横丁が続いているが、これは従来からここにある四柱神社の門前横丁としてにぎわっていた土手道を改修するに当り、あえて占有を承知で土手道にこのような横丁を作ったと言うことである。

縄手横丁、お土産屋の様子 縄手横丁、洋品店とおもちゃ屋
縄手横丁の店々、奥行き1間半くらい

これが行政に必要な「柔軟さ」の極意である、市民はここを一年中お祭りをしているような雰囲気で歩き楽しんでいると言う、当然多くの観光客もこの地を訪れ、物見遊山気分に浸っているのである。但し時代の推移か嗜好の変化なのか昨今では飲食店が次第に増えつつあり、この横丁にはり出したテラスのような場所で食事をしている姿もみられるという、確かに日本人も歩きながら物を食べても平気と言うようになってきたのだろう。

市内循環バス 市内循環バス
市内循環100円バス(ドイツ製の小型も)

とにかく実に多くを発見した調査であった。しかし残念なことに当日は雨が降っており賑わいの一端は垣間見ることが出来たがすべてではなかった様である、もしこれが晴天であればもっと多くの人々が街にでていたことであろう、撮った写真についても一様に暗く写っておりそれだけが残念であった。尚松本市建設部まちづくり推進課ホームページはこれらの写真についても充実しており、現地の様子を少しでも感じることができるのではないか。

為せば成るのだ。

甲府市議会新政クラブ 参加議員 依田敏夫、原田英行、福永稔、駒木明、桜井正富、野中一二、清水仁 以上7名
平成15年10月17日 甲府市議会議員 野中一二

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