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青森県三沢市

基地との共存について

平成24年10月2日 新政クラブ視察記録

 青森県三沢市と言うと八戸市の上に位置する自衛隊基地の町程度にしか記憶としてはなかった。青森空港が無い時代に三沢空港は航空機で青森に行く場所だと思っていた小生の記憶が、はなはだ脆弱なものだと思い知らされた視察であった。

 三沢市の概要、人口42,206人、面積120.09平方キロメートル、北緯40度40分、東経141度2分、第3次産業が71.2%であるが、実質農業都市である。この地はヤマセと言われる偏東風が夏場に吹くため、稲などの作物や果物は不適であり、根菜類を多く育ててきている。特にごぼうは日本一の収量を誇り、加工品としても売られている。

青森県三沢市視察
寺山修司記念館

 市域のおよそ1/8は三沢基地として使用され、その内約97%が米軍によって使用されている。後の3%を航空自衛隊及び民間空港施設として使っているのが現状である。米軍の施設としては基地内に居住する軍人軍属およそ9千人が使用する学校(幼稚園・小学校・中学校・高等学校・大学・大学院)や医療施設、ショッピングセンター等があり、すべてが提供できる環境が整えられている。もちろんショッピングセンター等の施設は身分証を提示する必要があり、日本人に開放されてはいないのだが、一部飲食スペースは開放されていて借用している自衛官も利用できると言う。大学なども解放されてはいるのだが、本国と同じく卒業は容易でないとの事であった。

三沢市では最初に歴史民俗資料館隣にある寺山修司記念館にお邪魔し、「天井桟敷」で寺山世界を確立し、ドラマ・演劇などに大きな足跡を残した寺山修司の世界を昨日の事のように思い出しながら拝見させて頂いた。案内をして頂いたガイドの方がまさに寺山世界に現在でもそのまま生きていると言った感じで説明してくれたのが非常に印象深かった。

続いて青森県立三沢航空博物館にお邪魔した。ここは三沢市長が再三県にお願いし、やっと完成した施設であると聞いたが、実際この施設を作って残すだけの価値があると改めて三沢市の立ち位置を認識したところである。

青森県三沢市視察
ミス・ビードル号
青森県三沢市視察
隣の小川原湖より引き上げられたゼロ戦21型

館内には世界初の太平洋無着陸横断飛行を達成した「ミス・ビードル号」の精巧なレプリカに始まり、日本でここだけの国産初の旅客機YS‐11が室内展示されていて、もちろん中にも入れるようになっている。

(ミス・ビードル号の快挙は、当時の新聞社が懸賞金5万ドル(現在の貨幣価値に直すと3億円ほどになると言う)で、太平洋無着陸飛行記録を募集した事に挑戦し、この地の海岸を飛び立ちおよそ40時間後アメリカワシントン州ウェナッチに着陸し成功したと言う、その出発の折飛行中の食料としてリンゴを地元の人に頂いたそうで、到着時に5つ残っていたそうである。そのお礼としてリンゴの産地であったこの地のリンゴのホダ木を頂いた事でアメリカ系のリンゴが我が国に流通するきっかけとなっている)

この施設の素晴らしいのは体験型の施設が数多く多く取り入れられている事である、その中でもフライトシュミレーターは1回10分程度かかるが、本物と同一で、実際軽飛行機免許取得中の方がここに通われて練習したそうである。また中学生などに人気があるのが、実際に模型のグライダーを作成するコーナーがあったりと、来場者が夢中になり時の経つのを忘れると言っていたが無理もない話である。

この施設、屋外には実際に空を飛んでいた航空機が数多く展示されているのも楽しい場所である。週末には多くの三沢市民をはじめ、相当にぎわうと聞いたが、当然であろう。また施設内のガイドをして頂いた職員は、おそらく実際に空を飛んでいただろうと思われるほど航空知識が豊富で、説明を聞いていても飽きる事が無い。このガイドの方々の態度・知識はこれから多くの首都圏住民に観光目的で来て頂く甲府としては非常に参考にすべき点が多かった。

青森県三沢市視察
青森県立三沢航空科学館のモニュメント これ全て動きます
青森県三沢市視察
月の重力を体験できる装置、楽しいです

基地対策と基地

三沢市の財政を見てみよう。
 地方交付税  5、153、911千円 
 国庫支出金  5,080,952千円 
 市税     4,201,496千円 
 基地交付金  2,075,585千円 
 県支出金   1,459,267千円 
 市債       140,404千円 
 その他      221,639千円 
合計     21,592,000千円 

歳入のうち毎年通称環境整備法による国費が毎年20〜30億、特別会計合わせておよそ70億円が入って来ると言う。この中には「思いやり予算」と呼ばれているものも当然入っているのだが、これらを基に滑走路延長直下に居住している市民の集団移転などで、現在は海岸線まで居住者はいない。

配備されている軍は米軍が戦闘機、哨戒機、輸送機合計で約50機。自衛隊が戦闘機、練習機、早期警戒機、ヘリコプター合計で約50機となっている。
基地内には平成24年3月時点で米軍関係8,368人、自衛隊員3,070人、基地従業員1,314人と、細かく把握されている。

それぞれ部隊がおよそ年間で150回程度の通告訓練と46日間の通告訓練を行い、その他に日常的な訓練は毎日行っていると言う。その他スクランブル発進があり、それらに対する苦情も当然ながら発生し、警察、防衛省、市役所などへの苦情は平成23年度457件あったようだ。一方基地に起因する事故は航空機に限っての統計だと昭和62年から47件を数えているが、日米でこれにまつわる死者は7名と意外と少ない気がした。

米軍係者に起因する事件は平成9年から23件であり、交通事故は平成15年からの統計だが、33件とこれもまた意外である。それには基地司令が「基地を離れたら君たちはアメリカの大使である」と言う訓示をしているそうである。実に秩序ある組織だと感じてしまった。

これらに対して三沢市は政策財政部長の下に基地渉外課を設け、6人体制で様々な問題にあたっている。安全はもとより様々な基地対策をすべてこの部署で行っていると言うが、基地を抱えている自治体が故に存在する課である。もちろん様々な渉外には基地との交流も含まれていて、町中で行われるジャパンデー、アメリカンデーといった催しから、航空ショーまで広く担当している部署だが、統計資料など細部にわたって説明責任を果たす姿勢は新しい自治の様子を示している感がした。

 その後基地の視察へと向かったのだが、案内役の自衛隊事務官を乗せた三沢市役所のバスはゲートで職員の身分証を示すと「連絡を受けているよ」と言わんばかりににっこりと笑顔でとうしてくれた。広々した基地内で写真はと質問したら、この中はアメリカですとやんわり断られてしまった。

青森県三沢市視察
三沢基地の使用状況
青森県三沢市視察
基地の中

しばらく走って自衛隊の宿舎の前を通り、航空自衛隊の広報館で基地の様子や状況について説明して頂いた。ここには自衛隊の装備や使用している機材が展示してあり、実際のコクピットだけが切断されておいてあるので否応なしに気分は空になって来るようだ。
バスでしばらく走ると格納庫の一つに案内され、F2支援戦闘機が整備済みの姿を見せてくれた。「詳しい事はこちらのパイロットに質問してください」と事務官から言われ、様々な事を質問し滑走路にも出て飛び立つ戦闘機の音の大きさに改めて驚かされた。訓練と言うがその様子は真剣で、何か近寄りがたいものを感じてしまった。

青森県三沢市視察
F2支援戦闘機
青森県三沢市視察
戦闘機の操縦席 緊急脱出用のワイヤもありました

 この基地での主たる任務は太平洋上の監視だと言うのだが、スクランブルにも対応しているパイロットにとって、基地を出ての休暇は一味違うのだろう。十分すぎるほど理解できた。

 基地内にはスーパーマーケットがあるのだが、日本人の入場は禁止されているとの事、みんな平然としい入口のゲートに身分証を提示して入っている。隣にある飲食街は日本人が入っても良いのだそうで、我々もアメリカンサイズのコーヒーを飲んで異国情緒にしばらく浸った。

 三沢市内でもそうだが、ここでは普通に英語である。商店の看板然り、案内板然りである。子供の声がするので振り返ってみると話している言葉は英語だ、それが当然なのだろう。

 夕刻4時30分が米軍の終業時刻だそうだ、一斉に帰宅する車がゲートに詰めかけ、ちょっとしたラッシュになったのだがその様子も何かゆったりした感じがしたのはなぜだろう、実戦部隊とは言え戦闘中ではないからなのか。ちなみに自衛隊は午後5時が終業になっていると言う。緊張感と安心感を共に胸に抱いて今回の視察を終了した。

青森県三沢市視察
三沢まちの駅アメリカンでした
青森県三沢市視察
街の雰囲気がどことなくアメリカン

三沢市役所の皆様には大変お世話になりました。
合わせて自衛隊の皆さんには、とても興味深い視察をさせていただきました。

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