野中一二のページ | 活動 | 議会 | 街づくり | 環境 | 言いたい放題 | プロフィール | サイトマップ | 掲示板 | ホーム | 戻る

広島県尾道市

公立みつぎ総合病院の経営について

平成22年12月17日 新政クラブ視察記録

2010年12月16日・鳥取市―米子市 → 17日・尾道市
みつぎ総合病院視察
病院正面入り口、質素です

御調(みつぎ)町は尾道市と合併して現在の尾道市になっている。昭和31(1956)年の開院時には22床の小さな町の病院であったが、現在は240床の地域総合病院として周辺地域人口7万人の健康を守り続けている。
この病院のコンセプトは「地域包括医療・ケアの実践と地域包括ケアシステムの構築及び住民のための病院づくり」と言い切っている。つまり「地域住民の健康づくり、疾病の予防から治療、リハビリテーション、在宅ケア、さらに福祉・介護までをも含む全人的医療の提供」という事になり、開設以来その充実に努めてきたとしている。少子高齢化が進み医療をとりまく環境は大きく変貌しつつあり、今や治療だけでなくケアも求められ、それに伴い進化してきた病院の姿がここにあるとも言いきれるのではないか。そして何より昭和51(1976)年の改修で99床になった時から今日に至るまで黒字決算を続けているのだ。

 当日は忙しい診察中の合間を縫って医学博士である山口事業管理者が冒頭説明をして下さり、その後は副院長の沖田先生によるさらに詳細な説明を聞く事が出来た。特に今回の視察では施設について見たいと言うよりも、いかにして黒字を確保しているのだろうかという点が中心であり、同じ市立病院を抱えるわが市の病院の在り方について、今後の研究材料になりえると思っての調査であった。

みつぎ総合病院視察
山口病院管理者からの説明を聞く

 最初に山口先生から聞いた話は「理解ある首長、理解ある議会、情熱ある医師」がそろっていれば大丈夫という言葉であった。30年間現場の第一線で指揮を執ってきた先生の言葉はなにより重かった。病院は命を助ける、ここでは病気にならない様にして、もしなってしまったら完全に治し、その後の維持も続けるのが目標ですと言う言葉であった。そして病院については「一定以内の借入金しかせず、継ぎ足しの連続で作り続けてきたという話。地域包括ケアシステムが理想であり、それの充実にひたすらまい進してきたという話など、わかってはいるのだか出来ていないわが市の現状と照らし合わせ、ただただ話に聞き入ってしまった。

雑駁に言って次のようになる。日頃の検診・異常発生・治療・療養・回復という流れを社会の中で作り上げて行くという事であった。そして「保険・医療・介護・福祉の連携が大切」であり、そのためここでは行政が行っている保健福祉センターに9人もの保健師(すべてケアマネージャーの資格を持っているという)を配置し、しかも公立みつぎ総合病院と密接な連絡を取り合い、訪問介護ステーションを併設してその後のケアに当たり、地域包括支援センターを併設して一層の連携を図っているという。結果として30年間で寝たきりの介護者の数は大幅に減少し、訪問介護の実践も着実に進み「出前医療」という言葉が日常使われるような姿になっている事。特に高齢者の対策については「保健福祉総合施設」という名称で介護老人保健施設「みつぎの苑」、特別養護老人ホーム「ふれあい」、付属リハビリセンター、ケアハウス「さつき」、グループホーム「かえで」、地域リハビリテーション広域支援センターを同一敷地に設置し、市民の安心を得ているのは素晴らしい事である。

みつぎ総合病院視察
待合室の様子

当然ながら市内にある診療所との「病診連携」についても非常にうまく機能しているという。一方副院長の沖田先生からは病院が抱える医師不足の問題についての厳しい指摘を聞き、大学にお願いするだけではもうダメで、自力で何とかする努力をすべきであると言いきっていた。朝令暮改で行っているような国の施策では到底農村部などでの医師の充足はできないだろうなと感じた次第である。

この病院の決算内容は素晴らしい物があり、病床稼働率などは甲府市立病院のそれを30ポイント近く上回り、ほぼ満室に近い状態が続いているようである。しかし救急等の対応は十分予備に管理しているようであり、その辺りにも安心感が漂っているのだろう。当然市立病院であるから市の職員もいるのだが、経営には一切口を出していない様子で、今回の視察中も言葉もなくずっとにこやかに聞き入っていた。昨年度の収益は約63億円の事業収入で約2億円の純利益を生んでいる、一方甲府市立病院は408床の規模で事業収入が約68億円で約10億円の赤字であった。一体どうやってこの数字を修正してゆくのかが問題なのだが、今回の視察中感じたのは「気合いともてなし」という言葉ではないだろうか。これは帰甲したらさっそく取り掛かる仕事が一つ増えたようである、まずは病院の組織についてではないだろうか。しっかりとした経営管理者を置き、理念の再確認とそれに向かって進む強い勇気ではないだろうか。

みつぎ総合病院視察
見送ってくださる沖田副院長

これから訪れる超高齢化社会、そして支える子供が減少してしまう少子化社会という二つの難題に対してどの様に対処してゆくのが良いのか一つの回答を得た気がしている。それにつけても今回の視察報告は短い文章しか書けないなと感じてしまった。つまり言葉に表現できない時間の重みと、取り組みの真摯な態度が漂う中で、心に触れる部分の言葉を聞く事が出来たという事は、私としては十分満足のゆく調査であったのだが、日頃病院に対して一定の情報を収集していないと「なんだ」で終わってしまうような部分がずいぶんとあったからである。

調査終了時点では最後まで副院長さんと病院事務部長さんが正面で見送って頂いた、それもずいぶん長い時間である。

みつぎ総合病院の皆様、ほんとにありがとうございました。

 

Copyright(C) 2010 by NONAKA Ichini
野中一二事務所
400-0016 山梨県甲府市武田2-11-19
電話 055-254-4040  FAX 055-254-4042

[UP] [戻る] [視察報告目次] [議会質問集目次] [2010年度] [議会目次]