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北海道長万部町

加圧流動燃焼システム

2007年8月2日−新政クラブ会派視察

「加圧流動燃焼システム」と言う言葉はなかなかなじみがない言葉である。今年になって下水道の専門新聞によって紹介された記事が私の目に止まり、一体どのような新技術なのか非常に気になっていた。

 甲府市の下水汚泥は現在3/4がその場で焼却され、残りの1/4がコンポストとして利用されている。しかしその焼却炉はそろそろ耐用年数が来る時期となり、コンポストについてもかかる費用が非常に大きいと言う事、現在では畜糞由来のコンポストが大量に出回って来ている事などからゆく末については再検討を迫られているのが現状である。

そのような中にあって「焼却施設がコンパクトになる」などの新技術を使った焼却施設は、一見の価値ありと判断し、今回の会派視察に加えた次第である。

長万部町視察
火力発電所の通常炉と加圧炉の焼却灰の
色だけでもこんなに違いがあります

前日の旭川から特急「ライラック」同じく「北斗」と乗り継ぐ事4時間、北海道は広い。長万部駅からはタクシーですぐの場所だが、地形のせいか随分遠く感じた。これも日頃の生活拠点が甲府盆地と言う閉鎖されたような生活圏だから、余計に強く感じたのかもしれない。

そもそもこの研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)「バイオマスエネルギー高効率転換技術開発」「バイオマスエネルギー転換要素技術開発」の共同研究先に指定されたところからスタートしている。

その件名を「都市バイオマス収集システムを活用するためのエネルギー転換要素研究開発」というのだが、平たく言うと都市の中にある様々なバイオマス由来エネルギーを効率よく処理するための研究と言う事で、例えば高水分率の下水汚泥や河川管理上発生する草木の選定くずなどを同時に効率よく処理する技術とでも言い表わせるのだろう。またこの研究の参加団体は独立行政法人・土木研究所、独立行政法人・産業技術総合研究所月島機械株式会社三機工業株式会社、技術委員会と言う産官学の連合体である。

長万部町視察
加圧流動床炉の本体、上からつるしてあります

この焼却炉の基礎技術は火力発電に由来し、加圧流動床複合発電方式(PFBC)(Pressurized Fluidized Bed Combustion Combined Cycle)と呼ばれている技術を基礎として、より安価にかつ安全に廃棄物の焼却が出来るように作られている。この様な仕組みを提案する根拠は、下水汚泥の発生が全国的に増加しているという事実と、その内75パーセントが焼却処理をされていると言う現実。その焼却炉の80パーセントが流動床であり、しかも通常耐用年数である15年と言う使用サイクルをメンテナンスによって20〜30年へと延命してはいるものの、近い将来寿命が来る焼却炉が全国で200基以上もあると言う事などがあげられる。またこれからの炉についても環境負荷の軽減など次期世代への数々の社会的要求がクリアされていることは必須であり、この取り組みは必要欠くべからざる技術開発の一歩だと感じた次第である。

なぜローコスト運転ができるのか

通常流動床炉は中に砂が入っていて、投入された下水汚泥などの燃やす物と砂が一緒に下からブロア(一定以上の高圧空気)で吹き上げられながら焼却すべきものだけが焼却され、灰となって外部へ取り出される。しかし今回の加圧流動床炉では、0.2MPaに加圧された炉内で燃焼されることから、焼却炉の容積は通常焼却の場合より1/3程度で済むこととなる。〈設備コストの減少、運転コストの減少〉

水分が多い燃焼物からは余剰空気が取り出せ、その量は通常燃焼よりもはるかに多い。それをタービンで受け圧縮燃焼空気を炉内に送り出すことで、流動ブロア、誘引ファンが不要になる。〈設備コストの減少、運転コストの減少〉

以上の事からおよそ40パーセントの電力消費量が削減されることとなり、同時に余剰空気が発生することから従来設備消費電力に比較して30パーセント程度の新たなエネルギーが発生することとなる。と結論付けられている。

長万部町視察
全体の心臓ターボチャージャー

実に発想が面白い、何が面白いかと言うと、この焼却炉はつまり通常の自動車にターボチャージャーを付けたと言う事なのだ。実際この機械で使われているターボチャージャーは4tトラックで使われているものをそのまま応用しているのだ。世界一厳しい実証実験と言っても良い、実際の自動車で使われている部品の性能は素晴らしい物があるのは十分ご存知であろう。「過給機付き流動床炉」もしくは「ターボ流動床炉」である。

火力発電で使われているこの技術では、発電炉のみならずその周囲の気圧も高く設定しているため費用はべらぼうに高くなるのだが、この様に炉内だけを加圧するのであればそれほど厳密な仕様変更はいらないのであろう。当然内気圧が高くなりすぎた場合の防爆弁が備えてあり、いざという場合についてもしっかりと配慮がなされている。それ以前に部品点数が少ないと言う事で、設備的な調整も従来炉に比較して簡易ではないかとさえ感じた。

廃棄物に関して最終的な処分方法は、安全面やコスト面など考えても焼却処理が最も合理的だ、但しそこに至る過程の中でいかにして有益な物や資源として再利用できる物を利用しつくすことができるか、と言う事にこれからの技術は向いてゆくのだろう。今回研修したような最終工程でさえ省エネルギー化が検討されている時代である。人類のごみとの戦いもまだまだ続くだろうが、こうした技術が多方面で研究される時代にあって、とても止まって休みとはゆかない気がした。

長万部にパイロットプラント施設を作ったのは共同事業者である三機工業株式会社様の場内施設がたまたま長万部町にあった事から、この町の下水処理場の施設内でそのまま使わせて頂くこととなったのです。
「甲府でやってくれればよかったのに」と言う投げかけをしたところ、できればそうしたかったという本音も聞けました。この様な施設、パイロットプラントでも見学者は大勢いるはずですから、是非次には甲府市で行ってくださいと営業してきたところです。

最後になりましたが、独立行政法人・土木研究所様、月島機械株式会社様、三機工業株式会社様には丁寧なる説明を頂きひたすら感謝いたします。どうかこれからも持てる力をフルに発揮し、技術革新にまい進して頂けますようお祈り申し上げます。

ありがとうございました。

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