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宮城県仙台市

シティーセールス戦略プランについて

2006年8月−経済建設常任委員会視察報告

29日・山形県上山市→30日・31日・宮城県仙台市
本年の甲府市議会経済建設常任委員会の視察は、2006年8月29日、30日、31日の三日間で行い、山形県上山市(コンパクトシティー、「カミン」、観光及び農業振興について)、宮城県仙台市(シティーセールス戦略プラン及び観光行政について)であった。

平成18年9月2日 甲府市議会議員 野中一二
この文書は野中一二個人の視察感想文です。

このホームページにあるのが仙台市が平成16年に定めた「シティーセールス戦略プラン」である。今回はまず仙台市役所において、仙台市企画市民局総合政策部の担当者からその事業の概要と、どのような背景でこの事業を行う事となったのか、現在の展開と今後の政策についてを聞く事となった。

宮城県仙台市
仙台市役所で勉強中

その一例としてあげながら話を伺った中には、企業セールスの商品に相当する都市のセールス資源は、都市イメージ、観光資源、 生活環境、産業活動の基盤、行政サービスなど様々で、そのまま「商品」となり得るものもあるが、とくに海外セールスを展開する場合など、その「商品」をより 効果的な「かたち」にする必要がある。

例えば「定禅寺通」と「ジャズ」を組合わせたジャズフェスティバル、「良好な環境」 イメージと「ベガルタ」の存在の組み合わせにより実現したワールドカップイタリア キャンプの誘致など、仙台はこれまでも固有の資源を組み合わせ、新しく息吹を吹き 込むことで「商品」を形成してきた、としている。

これらは全く新しい概念であり、まさに企業的発想を行政に持ち込むという一番難しい考えを発想転換させているのがこの事業の大きな特徴だろう。その上で、「線的セールス」から「面的セールス」さらには「立体的セールス」(多チャンネル・継続・蓄積型)へと発展させていく、市民、企業、行政の「総力戦」によるネットワークがこれからのシティーセールスに重要であるとしている。

さらにシティセールスは、単に都市を売り込む宣伝活動に止まるものではなく。都市づくりの観点から、必要な資源(ヒト、カネ、モノ、情報など)を獲得するために都市外に働きかけ、取り込み、生かしていく一連の活動として、戦略的に進めることが必要と言うことを強調していた。

そんな中で「トップセールス」の占める重要性を意思決定のすばやさという表現で表し、梅原市長自らが多く出かけているとしていた、但し一部には市長は出すぎというやんわりとした苦情もあるといっていたが、これも止む無しだろう。むしろわが街を売るという点では賞賛に値するのではと思えたのだが。

こうした説明を聞くうちに光ったのが、外部委託をかけなかったという点である。このような事業の場合、外部委託が実に簡単である。しかし仙台市においては外部委託をかけず職員自らの知恵と工夫で個別ブランドを高める工夫をしている、実は自身の市の事は職員がもっとも理解しているのではと日頃感じている小生にとっては、とってもうれしくなってしまった部分であり、ホントに大丈夫かと不安になる部分でもあった。

そうした中で固有のものを如何に作り出してゆくか、個性をアピールできるかという点では、職員自らも同時に切磋琢磨できてしまう事となり、一層その「信頼力」が増してくるのだという。魯迅の話などはそのもっとも良い例だと感じたし、ヘルシンキ市との交流も、従来型の発想ではなかなかここまで進む事は容易ではないと感じた次第である。

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仙台といえば伊達正宗
(翌朝早くタクシーで行って来ました)

市役所での説明を聞くうちにふっと感じたのは、「官主導」と言う言葉であった。仙台市はわが甲府市のおよそ5倍の人口を有し、その経済力においても港を有している事も考え合わせて見てもはるかに巨大である。 東北6県の人々は仙台へと流れ、九州の人々は博多へと流れるという、にもかかわらずであるが官がその主導的な役割を負うケースが目立ったのである。

この答えは「仙台は支店経済都市である」と言う事であった。つまり東京本社の大企業が東北支店を設置するのが仙台、と言う事であればおのずから自立した企業(特に製造業)が少なく、工業都市というより商業都市であるということらしい。となれば固定資産税収入は一定以上が入ってくるのであるが、法人税は均等割り、もしくは支店割しか入ってこないので、当然その収入には限りがある。そこで持てる仙台の力をフルに発揮するのが「シティーセールス」と言うことになるのであろう、いわゆる観光業など交流人口の確保と言う事である。

この考えはわが甲府市にもぴったり当てはまる言葉である、回りには首都圏4千万人を抱えながら、山梨県自体は居住人口88万人止まり。その上大企業の数はほんの数社と限られ、好景気となっても法人税が入ってくるのはたかが知れている。しかしもっと残念な事には、山梨県民にはホスピタリティーが無いとまで言われてしまっているのだ。

ここは一つこの仙台市におけるシティーセールスの考えを甲府市でもしっかりと受け入れ、首都圏4千万人に対して今以上の積極的なアプローチを仕掛けてゆくべきだと感じた次第である。しかし都市の規模的なギャップは否めない、まあ自然が豊富という点では甲府市も決して負けてはいないのだから、それらも含めて今後に期待したいところだ。だが職員の気質を変えるという部分からの仕事になると、これは実に大変な作業である。仙台市さんにはそのあたりを実際もう一度聞きに来ないといけない。

 

財団法人 仙台市産業振興事業団

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駅前AERビル

本庁舎でのシティーセールス研修後、仙台駅前にある財団を研修させていただいた。ここでは、先ほど私が抱いた疑問(仙台は支店経済と言う下り)に対して、仙台市としても指をくわえて見ているだけではないと言う現場に相当する財団である。

財団法人仙台市産業振興事業団は、新規創業、中小企業の経営革新、産学連携、産業の情報化・国際化などをトータルにサポートする総合支援機関として誕生し、仙台市内中小企業や創業を希望する皆様の身近な相談・支援機関として活動している。

甲府市にあっては「(財)やまなし産業支援機構」と同一の施設という位置付けとなるであろうが、若干その目指すものが違っている気がする。ここでは創業者支援、経営革新支援、求職者支援という3つの大きなメニューがあり、それぞれ内容は細分化されていてきめ細かい支援が受ける事ができる。しかもそれは事業者から一方的にとりにゆくだけでなく、人脈・知識豊富なビジネス開発ディレクター(経営アドバイザー)が御社に訪問して、その場で経営課題にお応えする『出前経営相談』を行っている。その中では相談内容から依頼した会社にピッタリ合った行政等の中小企業支援メニューを紹介までしてくれるのである。

ちなみに今回は駅前にある31階建ての真新しいビル(アエルという名がついている)にある新規事業に挑戦する中小企業や起業家を応援する目的で、仙台市が設置するインキュベーション施設「仙台市情報・産業プラザ起業育成室」を見学。

このビル8階に立地する同施設は全12室あり、各室の広さは46.08〜81.12u(13.93〜24.53坪) となっている。ここでの月々の支払い額は各室の広さに応じ、使用料・共益費併せて131,805円〜232,065円と、破格の安さで1年間に限り借り受ける事が出来、ここで未来の企業家に向かって離陸の準備を行うとしている施設である。

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8階のインキュベ−ションルーム

もう一つこのビル16階には「Nestせんだい」と言うフロアがあり、仙台市内において新たに事業を起こそうとしている個人や中小企業・団体を対象に事業化実現までを総合的にサポートする会員制のインキュベーション施設である。

各種専門家がアーリーステージにおける課題の解決や、利用会員登録時に各自設定していただく目標の達成をバックアップしてくれる。すでに約30社がこの場所から巣立ち、市場に出て成功している会社が数社あるという。

このような地道な支援が、明日の仙台市を大きく変えることになるだろう。そして今後は官民一体となったシティーセールスを仕掛ける事で、益々仙台というと市の地盤は強固なものになり、これからの地方主権の荒波の中に合って、日本のリーダーの一つとしての都市像を完成させるのだろう。

ちなみに操業間もない会社がこのビルが住所というだけで、世間の信頼が得られるようになってきているという事であった。仙台市による事業の事前審査体制、あるいはその後の支援体制について、一定の評価が市民の中にも浸透してきたという事なのだろう。

ここまで行っている都市があるという事は実に驚きであり、大いに参考になった次第である。「井の中の蛙大海を知らず」になっては困る、実に困るのである。わが甲府市が井の中の蛙にならぬよう、そしてゆでカエルにならぬよう気を引き締めよう、今回の視察は実に有意義なものとなった。杜の都幸多かれと祈る。

 

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