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三重県鈴鹿市(新庁舎建設について)−新政クラブ視察報告

2006年2月2日

1日・立川市→2日・鈴鹿市→3日・神戸市
鈴鹿市視察報告
市役所14階からの市内の様子です

鈴鹿市においては、『高齢化社会、高度情報化社会の到来や、環境への関心の高まりなどにより、地方自治体は、多様化する行政需要への対応が求められている。そのため、新庁舎は、市民と行政との連携、人と人との協働、そして、鈴鹿らしさをはぐくむ拠点として、より良い市民サービスの提供ができる施設として建設されるべきである。』として庁舎建設が行われてきた経緯がある。

以下、鈴鹿市のホームページ、そして新庁舎建設のためのページが一定の範囲での行政による情報開示のもと、その概要については充分読み取れる。ここでの記述は、小生が建設担当者からの説明を中心として、一部自己意見などを取り込みながらの報告とさせていただきたい。

本年(平成18年)1月4日から新庁舎での事務を開始した三重県鈴鹿市では、高層型15階建ての新庁舎を建設し、地域防災拠点としても活動をはじめたばかりである。ここでの大きな特徴は、建物に関して言うと1・2階は広いテラス風の開放感ある窓口で、誰でも使いやすい市役所としての機能と設備を十二分に発揮しそうである事。積極的に太陽光パネルを利用したり、雨水を貯留し中水として建物全体での利活用や周囲への散水等に利用するなど、環境との調和について積極的に取り組んでいる姿勢が目に付いた。

3階部分は吹き抜けとなっており、ビル風対策も充分考慮しているようである。上層部へ行って見ると確かに鈴鹿市内を一望できるだけの充分な高さが確保されており、これではビル風対策が必要な訳が理解できる。さらにはその屋上に設置されている鉄塔には、遠隔操作が可能なテレビカメラが用意されていて、市民の安心・安全な生活に、消防との協力によって充分な活躍が期待できるのではないだろうか。しかし1・2階部分のガラス張り仕様については、特に夏場は厳しいかもしれないと感じたが、床冷暖房が設置されていて、床高2メートル程度までは温度管理が為されるとの事であるから、余計なお世話かもしれない。

鈴鹿市視察報告
市役所1階部分、屋根はソーラーパネルです。

鈴鹿市では、昭和62(1987)年から新庁舎の必要性を感じ始め、庁舎建設のための積立金を続けてきた。結果今回の庁舎建設費用106億円の内78億円については、この積立金の取り崩しでまかなえるとの事である。20年以上もの間の努力がこの様な形で報われるとは、行政の継続性という言葉を改めて感じるものがここにはある。しかも鈴鹿市においては平成15年10月に行われた市長選挙の折、新市長となった事からこの工事内容や契約内容を再度吟味する事で、すでに予定してあった金額から13億8千万円の減額を行いこの金額になったという。これも民間ならば当然と言うべき事だが、行政予算の中でこのことが行われたと言う事はすばらしい事である。

最後に確認をした数字であるが、106億と言うこの数字の中には、当然移転にまつわるプレハブなどの諸掛が含まれている。考え方としては他地区などへの新築後全て移転と言う事のほうが安価に出来るのだろうが、鈴鹿市においても現状役所の周辺住民から、移転しないよう要請文が出たとの事である。このことについては従来からのことを考えれば理解できるのだが、コストアップや都市の広がり、あるいは交通事情などなどの要因を総合的に考えてゆく必要があるだろう。甲府においても今後庁舎移転あるいは改築といった事態になれば、数々のこの様な要請書が出てくることは十分に考えられる。

今回鈴鹿市役所を視察させて戴いているあいだに、この建物に対してと言うのではなくもっとも考えさせられた事のひとつに、「役所は一体誰のためにあるのか」と言う不思議なテーマであった。役所は市民のためにある、市職員の働く場所である、議会のためにある。全て正解でありすべて不正解ではないか、つまり、おおやけと言う場は常に一つの事だけでは回らないから公なのだろう。市民が訪れる場所ではあくまで主役は市民なのだ、だから「接客」と言う要素が重要になるのだし、当たり前以上のバリアフリーと言う事も重要になってくる。
 ここで例えば総務部文書法制課といえば市民には全く関係が無いといっても差し支えない、しかも役所の機構の中では重要なポジションであるにもかかわらず日常的に頻繁に関与するといった場所でもない。
 広報と言うポジションについてもこれも同じような事が言えるのではないか、広報は市民に対して行政行為を広く知らしめる事にあるとすると、市民との接点に居ながらひたすら市民サイドを向いて行政の行動を開示する。つまり行政の活動内部に深く入りつつ、市民活動には入っていかないとなってしまうのである。
 議会についても同様、市民からの選挙と言う付託を受けて市民の代表として行政を監視・監督する、そして行政サイドから出された事案について審議し、可・不可の議決を出して執行させる、となれば議会は当然市民に対して開かれていなければならないが、行政サイドと密接に日頃から繋がりを持たなくても良い事となる。ここでは良く聞く「車の両輪」と言う表現は実は不適切なのだと思えないだろうか。 などなどそれぞれの立場やこの建物を使うときの動機と言うのは実に千差万別なのだろう、だからこれが新しい形の庁舎ですと言う一定の形と言うのは出てこないのではないか。

鈴鹿市視察報告
手前の古い建物は旧北館で取り壊す予定です

ちなみにこの鈴鹿市の新庁舎は、市民対応が頻繁な1・2階については、実に開放的でゆったりとしたスペースが確保されており、何らかの用事で来る市民に対しても充分対応できるよう作られている。その上に「防災拠点」としての利活用も確保されているようなので、市民にとっては実に安心出来る市役所なのだろう。
 4階以上の事務スペースについては建物の中央に通路が確保されていて、両サイドが事務スペースとして使われている。しかし其処にはパーテーションなどで仕切られている部分が全く無いので、「いつ何処で誰が何をしているのか」が全て見通せてしまうのだ。この形はよく大手企業などで見られるのだが、この建物は奥行きが無いので一見開放的な職場ではあるがストレスがきっとたまってしまう事もあるだろう。
 議会使用部分については標準的な使用区分であるが、議場と市民が行き来すると言う感じには見えてこなかった。この建物全てに対しての設計者の思想とは一体なんだったのだろうか、あるいは鈴鹿市がこの建物に対して望んだものは一体なんだったのだろうか。改めて、提供されたパンフレットやその構想を読み返してみたところである。

現在甲府市では新庁舎建設に向かう動きがここへ来て活気付いてきている。この様な動きの中の視察となったわけだが、さすがに現在庁舎を新築した都市に於いては、ここで提起したような問題点についてはその都市なりのきちんとした考えを打ち出しているということを実感できた。同時に、庁舎の建設と言う事に対する裏づけとも言うべき資金面での対策も、相当な時間をかけて着実に手当てしてきている事には驚かされてしまった。
 我が甲府市は如何であっただろうか、行政の継続性と独自性を打ち出す必要が従来以上に求められてきている現在、どのような方策を持って進捗すべきであるのかを改めて見直す必要があるのではなかろうか。
 今回の視察の中で、ある都市の住民に直接問い掛ける機会があった。そこで「市役所が新しくなると言う事については如何お考えですか」と問いかけた、その方々の多くは「市役所が無くなったんじゃあ、何にもならないからね」「いいんじゃないの、新しくしても」と言う答えがほとんどであった。
 東海沖地震の発生時には市域一円が想定被害地域となっている現在、「甲府市役所が倒壊しました」ではこれは笑いにもならないニュースである。時間をかけることも大切だが、短時間で必要十分な議論を集中すると言う事もここでは必要になってくるのではないかと考えてしまう今回の視察であった。

2006年2月5日  新政クラブ事務局  文責 野中一二

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