平成13(2001)年5月28日急遽の視察ではあったが、念願の響灘にある北九州エコタウン事業を見学する事が出来ました。今回は下図のエコタウン地区の内、特に実証研究エリアを中心に見学してきました。

新幹線戸畑駅を降り、若戸大橋をわたるとやっぱりここは鉄の町だなという独特のにおいがあり、工場に囲まれた町が日本の発展を支えてきた様子が良くわかりました。この北九州というところは日本で初めてスモッグ警報が出た町です。昭和40年代初めには「死の海」と宣告された洞海湾も今では青々と美しく広がっており、ここに至るまでの住民・企業・行政の並々ならぬ努力が感じられました。ちなみにパンフレットからその写真を写し出しておきますが、白黒では良くわからないかもしれません。
![]() 汚れた洞海湾(1960年代) | → | ![]() 蘇った洞海湾(現在) |
![]() 煙におおわれた空(1960年代) | → | ![]() 青空をとりもどした空(現在) |
工場での「生産第一主義」から市民、企業、行政が手を携えて行ってきた環境に対する数々の行動は、まさに我々がこれから行おうとしていることの指針ではなかったでしょうか。やみくもに反対するだけでなく、日々の活動を通じて行った市民運動。このことが今この地区の子供エコ活動を日本一の規模で行っている布石であった事でしょう。いま環境汚染防止機器を世界中に販売している事、その技術協力を世界中で行っている事。この事がこの地域で育った企業に素晴らしい財産として残っているのです。そして今回の「北九州エコタウン」を作った行政の中にも、しっかりその根が息づいている感じか致しました。
6.5ヘクタールで行われている実証研究エリアでは次のような事が行われています。
| プロジェクト名 | 事 業 概 要 | 備 考 | |||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 福岡大学資源循環・環境制御システム研究所 | 廃棄物の処理技術・リサイクル技術及び環境汚染物質の適正な制御技術を産学官で共同研究。(福岡大学、九州大学、 九州工業大学、佐賀大学、民間企業ほか) | H10.4月[文部省学術フロンティア事業] | ||||||||||
| (実証研究の事例) |
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| 2 | 焼却灰リサイクル技術実証研究施設 | 都市ごみ焼却灰を物理選別 後、薬剤により安定処理し、道路路盤材等への土木資材に活用する実証研究。(栗田工業) | H9.10月 | ||||||||||
| 3 | 閉鎖型最終処分場実証研究施設 | 外部と遮断されたコンクリートドームを最終処分場とすることにより、浸出水、粉じん、悪臭等の外部への影響を低減させる実証研究。(フジタ) | H10.9月[(財)エンジニアリング振興協会受託研究事業] [環境事業団助成金交付事業] | ||||||||||
| 4 | 廃棄物最終処分場遮水機能診断・修復システム実証研究施設 | 最終処分場遮水シートの損傷検知、修復、修復完了確認などのトータルシステム化技術の実証研究。(M&R研究会 代表幹事:大成建設) | H10.10月 | ||||||||||
| 5 | 都市ごみの生分解性プラスチック化技術実証研究(第II期展開) | 都市ごみから製造されたポリ乳酸(生分解性プラスチック)について、他のプラスチックとの分別を伴うケミカルリサイクルとその製造過程で発生する残さの肥飼料化等の実証研究。(九州工業大学、北九州テクノセンターほか) | (H11.10〜13.3第T期)H13.4月[文部科学省科学技術振興調整費交付事業] | ||||||||||
| 6 | 焼却灰の無害化リサイクル技術実証研究施設 | 焼却灰を摩砕、水洗浄・ふるい分けし、粗砂、細砂等を回収し、コンクリート骨材や路盤材、埋め戻し材、セメント原料などの再生資材にリサイクルする実証研究。(熊谷組、エコプラント、溶融資源) | H11.8月開設 | ||||||||||
| 7 | 廃プラスチックリサイクル技術実証研究施設 | 平成12年4月から容器包装リサイクル法の対象となるペットボトルを除くプラスチック容器包装を対象として、再商品化のための造粒物(アグロメレート)を製造する技術研究。(CJC、日立製作所) | H11.10月[NEDO受託事業]H13.3月 | ||||||||||
| 8 | 完全無放流型最終処分場の実証研究施設 | 最終処分場の遮水シートの代わりに鋼板を使用し、更に屋根を付設することにより、浸出水をコントロールする実証研究。(横河ブリッジ) | H11.11月開設[環境事業団助成金交付事業] | ||||||||||
| 9 | 耐塩性遮水層(高炉スラグ利用)の構築技術実証研究施設 | 最終処分場遮水シート下部に敷設する遮水層に現地発生土と高炉スラグ微粉末、ベントナイトを混合した耐塩性特殊粘土遮水層の現場製造技術、性能評価。(間組、新日鐵) | H11.11月開設 [NEDO受託事業] | ||||||||||
| 10 | 廃棄物資源化実証研究施設 | 廃棄物を破砕、選別 、脱塩等により、プラスチック、高カロリー廃棄物、資源ごみに分別する前処理技術の実証研究。(新日鐵) | H12.4月開設[NEDO受託事業] | ||||||||||
| 11 | 溶融スラグの有効利用と処分場の安定化促進実証研究施設 | 焼却灰溶融スラグを砂の代替材として、覆土材へ利用する技術の実証研究。(大林組、奥村組、三井造船、タクマ) | H12.6月開設 | ||||||||||
| 12 | 廃コンクリート・リサイクル技術実証研究施設 | 解体コンクリートから高品質骨材を回収し、再利用可能な骨材として再生する実証研究。(竹中工務店、栗本鐵工所、麻生セメント) | H12.8月開設 | ||||||||||
| 13 | ガラスカレットのリサイクル技術実証研究施設 | 回収ガラスビンを粉砕し、粒状化したもの(ガラスカレット)に結合材を介して焼結し、ブロック・タイル等に再利用するリサイクルシステム実証研究。(ホッシーファミリージャパン) | [地元中小・ベンチャー企業]H12.8月開設[北九州市中小企業技術開発振興助成事業] | ||||||||||
| 14 | 廃プラスチック等を原料とした複合新素材開発技術実証研究施設 | 廃プラスチック・焼却灰等の各種素材を超微粉砕し、各々の配合により複合新素材として再生させる実証研究。(エコシステム、三鉱建設) | [地元中小・ベンチャー企業]平成13年度開設予定(建設中) | ||||||||||
| 15 | 飛灰の無害化処理に関する実証研究施設 | 飛灰と薬剤を混合し、加熱処理(300℃程度)することで、飛灰中のダイオキシン類及び重金属を無害化する実証研究。(福岡大学、環境テクノス、九築工業) | [地元中小・ベンチャー企業]平成12年10月開設[NEDO地域コンソーシアム研究開発事業] | ||||||||||
| 16 | 油汚染土壌浄化技術実証研究施設 | 土壌洗浄技術と微生物による油分解技術を併用した油汚染土壌洗浄手法の実証研究。(熊谷組、住友海上リスク総合研究所、住化分析センター、九州テクノリサーチ) | H12.9月開設 | ||||||||||
| 17 | 再資源化建設資材実用化実証研究施設 | 6で無害化処理した処理物のリサイクル材として利用時の安全性を検証する実証研究。(熊谷組、ガイアートクマガイ) | H12.9月開設 | ||||||||||
| 18 | 最終処分場実証研究施設 | 6で無害化処理した処理物を屋根付処分場に処分し、浄化促進技術を実証研究。(熊谷組) | H13.1月開設[環境事業団助成金交付事業] | ||||||||||
| 19 | おから等の食品化技術の実証研究施設 | 豆腐製造過程で排出されるおからを乾燥し、食品等に再利用する実証研究。(異島電設) | [地元中小・ベンチャー企業]H12.8月開設 | ||||||||||
| 20 | 廃棄物無害化処理システム研究施設 | 廃棄物を洗浄することで、有害物質を高度に分解・除去処理し、埋立処分するシステムの実証研究。(WOWシステム研究会 代表幹事:神鋼パンテック) | |||||||||||
| 事例 | 取り組みの内容 |
|---|---|
| もったいない総研ファーラム |
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| 地球温暖化を考える北九州市民の会 | 環境家計簿を通じた二酸化炭素の削減などの活動などが評価され、環境庁長官の「地球温暖化防止活動大臣表彰」を受賞 |
| 若松商店街連合会 | エコタウン事業の地元若松区の商店街で「若松おかみさんの会」が主体となり、商店街内に空き店舗を利用したリサイクルコーナー「かえましょハウス」(市民リサイクル運動の基地)を開設。<空き缶 リサイクル回収機設置・使用済みテレカや切手の回収箱設置・環境家計簿作成・自転車による配達(二酸化炭素等の削減)> |
| 廃食用油リサイクル推進モデル事業 | 九州唯一の「廃食用油リサイクル推進モデル事業」。家庭の廃食用油を回収・処理し、飼料・石けん・洗剤・塗料などに再利用(農水省モデル事業) |
以上のような事を展開しています。
この様な市民の理解が大切だと思いますし、それが有機的に結合しているのが素晴らしいと感じました。 でもこれでも30haほどだそうですから、米倉山を使って山梨でやればおもしろい。なんたって40haもあるんだから。
ここで言う焼却灰とは「ストーカー炉」などから出でくる焼却灰を水洗し、灰の微細粒子に付着している各種有害物質を除去し、覆土・埋め戻し材・路盤材などに再利用させるという技術です。自然界では長い年月をかけ行われてきたこの作用を、短時間でかつ合理的に処理してしまうと言うものです。その後はここで選別洗浄した土を長期にわたり自然放置し、その経過を継続観察している施設を含めてひとつの研究施設グループとして運営されています。またこのシステムを利用して「油による汚染土壌の改良」に利用しています。従来ですと油汚染土壌は微生物などを使って改良するとか、汚染土壌そのものを入れ替えてしまうと言った対処両方だけでしたが、この方法を使う事でほぼにおいもなくなり、特に重油などでの汚染土壌の改良には効果があるなと実感いたしました。
会話の中で、微生物による改良では「海外からの微生物輸入が心配」という言葉が聞けました。自然の生態系を守るのもこのような事業に携わる技術者の使命なのだと痛感させていただきました。
この施設はNEDOからの支援を受けて焼却時に発生する飛灰からダイオキシン類を除去するのに、その発生時点(一番発生しやすい温度環境)にまで高めてから化学反応を利用してダイオキシン類を逆分解するプロセスを研究しています。
とにかく非常にきれいな設備でした。考え方についても、一番発生しやすい環境に戻してそこで発生の鎖を断ち切る。という発想は簡単に出るものではありません。説明していただいた山田先生は、何の秘密もないですからと言って薬剤の名前も簡単に教えてくださいました。
今後の方針として「溶融施設から出てくる溶融飛灰」は重金属をたくさん含んでいるのでその分解抽出をやってくださいとお願いしてきました。
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| ここに並んでいるのは「植木鉢」です、そこの穴がないのです。ガラスカレットから作った再生品ですが,非常に透水性が高いので(通常の透水タイルの2.6倍)そこ穴がなくとも水はけの良い植木鉢が出来上がるのだそうです。 | そしてここに並んでいるのが,透水レンガです。もちろんガラスカレットリサイクル製品で、まもなく完成する「エコタウンセンターのエントランスなどに使用されるため製造中です。このレンガは上からホースで水をかけてもすべて浸透させてしまいます。 |
この会社の星野社長は「脱サラ」でリサイクル事業に取り組んでいます。数々の難問があるでしょうが、すべて自分の選んだ道という事。非常に情熱的な方でした。 頑張れホッシージャパン。

この他にも、おからを脱水して畜産資料や、食品原料に加工する施設がある(おからは従来は産業廃棄物として処理されていた.その昔は養豚業者などが資料として回収していたのだが、豆腐製造の機械化と事業の集約化により出てくる量が大量になった事、養豚業者などが配合飼料を使うようになりこの手の廃棄物を使用しなくなってしまった事から産業廃棄物扱いになっていた。このおからはその段階でも水分率が70%ほどあり、腐敗しやすく脱水技術に苦心していたのである)。
また生ごみからポリ乳酸を作り出し、それを利用して「生分解プラスチック」を作ることを研究している施設など、どれも非常にユニークな研究を行っている。そしてその根底には「企業化するには価格などでの競争力が必要で、決して夢だけで行っているわけではない」という共通のひとつの理念があることには驚かされた。とかくこの手の研究は金がかかっても良いからひとつの指針を出す事に活路を見出すものだが。
(「ごみをいただきます」−平成13(2001)年7月発行−より抜粋)
視察研修・2001年5月28日・29日
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