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ごみをいただきます

第3章・視察の内容

3.北海道札幌市リサイクル団地

三造有機リサイクル株式会社

ここでは湯温減圧式乾燥システム(別名てんぷら法)と言う方法で学校・ホテル・レストランから発生する生ごみを処理工場において、最終的に1日50tの生ごみから10tの飼料を生産している行程を見学した。

湯温減圧式乾燥システムの原理
湯温減圧式乾燥システムの原理

この方法は減圧容器の中で生ごみ中の水分と高温の廃油を置き換えてしまい、油切りをする事で最終水分率が5%蛋白質分22%という飼料原料を生産し、現在は漁業用の飼料原料として販売している。

当然製品はにおいもなく工場の内部ではしっかりと環境区分がされ環境汚染という言葉もないほど脱臭され、汚水処理もユニークな方法で行われている現場を見ると、これからの新しいごみ処理の方法として非常に興味深いものがあった。同時にこの三造有機リサイクル株式会社が行っている事業はいわゆる P F I の考えを持っているという事がすばらしい。まさに食べられる物を捨てているのが生ごみであるのだから人間は無理でも家畜や魚類には十分飼料として提供できる物である、といっている工場長の考えの根底には、飽食の時代に住んでいる我々に警鐘を鳴らしているのではないかと思えた。

日本中で現在年間2.000万tもの生ごみが捨てられ、食物の4分の1が生ごみで捨てられているといった数字を聞いた事があるが、今回の視察で「何かおかしい」と感じたのは私一人ではないはずだ。

後日談であるが北海道の農業試験場で羊にこの飼料を食べさせたところ、羊が下痢をしてしまったと言う報道があった。しかし我々でも毎日天丼ばかりそれも具ばかりでは嫌になるし腹もこわすだろう。やはり羊もご飯と一緒、できれば漬物も食べたかったに違いない。その様な事から、現在では長崎県まで運び五島列島周辺の漁業協同組合が魚のえさに混入させて使用しているようである。ちなみにこのような場合はtあたりの単価はその資料に含まれるたんぱく質の量×千円/tあたりと言う事から、22,000円/tで引き取られているとのことだった。

製造上混入している物については加工後ふるいなどできれいに選別されて出てきていた。その主な物はスプーン・フォークなどの食器や、爪楊枝・割り箸など。運送用のビニール袋はしっかり選別されて出てきている。現場の作業者の話では5%程度なら混入していても大丈夫とのことであった。

このシステムを甲府市に導入するとしたらどうなるのかをシミュレートしてみた。

処理量を50t/日として検討する事とし、年間300日/24時間運転条件で設定すると、この設備の償却費用・かかるランニングコスト・想定されるIRR値(内部投資利益率)などすべての条件を満たす事となっているが、ホテル・レストラン・学校給食・食品産業・甲府中央卸売市場など、すべての業務系施設から回収可能な分別された生ごみはおよそ35tでしかないだろう。

このような事から当初計画の処理量を35tに減少させてもう一度検討してみると、ここでは満足できるIRR値がでてこない事になってしまう。もうひとつの運転条件である24時間操業であるが、ここでも処理量の関係でこの値を8時間操業に落とすと設備の償却が進まず帳簿上採算割れが発生する。このような状況の中私としてはこのプラントの小型化を要請してみたのだが、この事については全体設備の効果的な配置ができずにいたようだった。つまりこのプラントを正常に活動させるには(収益事業として)人口100万人程度の許容量が必要であり、わが国においては政令指定都市がその対象となってしまうのだろう。実に惜しい話であるが仕方ない。

さらにこの設備を使用した下水汚泥の再処理施設については、後半福岡県における事例として取り上げる事とするつもりです(御笠最終処理場)。

IRR(Internal Rate of Return)について

内部収益率とは、一定の期間ごとに発生する支払い(負の数)と収益(正の数)から成る投資効率をあらわす利率の事です。内部収益率ではまず現在価値が前提となります。 現在価値とは元金 P 円を N 年間 r %の複利で銀行に預けたとした金額を今受け取ったらいくらになるかと言う事です。そのためには N年後の複利で増えたお金を割引率 r%で現在価値に割り引く必要があります。

内部収益率は投資額と毎年の予想純収益の現在価値合計が等しくなるような割引率の値をさします。

これからの行政はこのような数値を駆使して例えばPFI事業の利益予想を計算するとか、いろいろな事業活動に対して事前予想を行うなどの作業が必要になってきます。そのためにはまず1人でも良いからしっかりとしたエキスパートを養成する必要があるでしょう。

中沼資源選別センター

この団地への進出企業

この施設の説明の前に「札幌市リサイクル団地」とはどのようなものかを少し説明しておきたい。この団地は札幌市がごみのリサイクルを考え平成6年から造成しているこのリサイクル団地は、10社の事業主体が展開する規模になっている、ここでは土地は安価にて札幌市から賃貸し、事業主体も公社や完全な民間会社形態とさまざまであり、それぞれが独自技術を駆使してごみのリサイクルを展開している。

札幌市リサイクル団地への進出企業
札幌市(プラスチック選別施設)・(財)札幌市環境事業公社(中沼資源選別センター)・(株)札幌リサイクル公社(建設系廃材リサイクルセンター)・札幌プラスチックリサイクル株式会社(プラスチック油化施設)・エコシート札幌(ペットボトルシート化施設)・北海道ペットボトルリサイクル(ペットボトルフレーク化施設)・三造有機リサイクル(生ごみリサイクル)・〔協〕公清企業(産業廃棄物処理センター)・札幌リサイクル骨材(廃コンクリート再生施設)・タイヤリサイクル北海道(廃タイヤリサイクル施設)

その中にある(財)札幌市環境事業公社が運営する「資源選別センター」を見学した。甲府市においては「有価物」として回収している缶・ビン・ペットボトルを、札幌市は半透明の袋で「資源ごみ」として回収し、ここの選別センターで機械選別と人手による最終選別を行っている。機械的には甲府市が所有しているものと同様ではあるが、総勢50名が1時間(50分作業・10分休憩)ごと作業を行っているところは壮観であり、これが日曜・祭日もなく一日8時間でやっと消化しているという量には驚かされる。ここでは全札幌の60パーセントを処理し、もう一個所で残りを処理していいる。能力としては105t/5時間と言われているが、8時間では168tと言う事でしょうか、とにかく大変な作業です。

資源選別センター

「元から断つ」というのが原点であるならば、此処に終結する前の状態あるいは各家庭から排出されているのだからその時点できちんと分別され、一定の条件のもとに回収されればこの施設の存在意義はなくなるわけです。ここでの作業はまさに家庭からのごみの出し方に基本があるように思えます。

もしこれが分別回収されていたら、ここでの費用は頂かなくても良い事になりませんか。建築延べ床面積6,236m2、総工費24億円がです。それからここでのランニングコスト。これを札幌市民は払い続けるわけです。甲府の場合も同じことでしょう。

人々は快適な生活を求めるあまり、基本的に自分の事は自分でやると言う原点を忘れかけているような気がします。「今までこうだったのだから」、えー「今度はこんなに面倒なの」。その事に手間をかけていただくしか「ごみの減量化」を進める手立ては無いような気がいたします。同時に行政責任はどうなるのでしょうか。皆様方にお願いして分別していただく事、そこから集まったものを適切な処理を行ってゆく事、このことが今後のごみ行政にとって大切な事ではないでしょうか。

(「ごみをいただきます」−平成13(2001)年7月発行−より抜粋)
視察研修・1999年9月6日〜8日

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