すでに全国に広がりつつある環境美化条例については、その総論は甲府市でも導入しているので此処での解説はしないこととする。そんな中、東京都杉並区では2003年10月1日より施行する「安全美化条例」に基づく路上禁煙地区を設定し、同日から環境美化パトロールを実施して行こうとしている。この事に先立ち9月25日杉並区役所を訪ね、甲府市で制定した環境美化条例の検証を行うこととした。

この条例制定に際してを最初から係わった「杉並区環境清掃部、上原環境課長」におかれましては、貴重なお時間を頂き説明いただいたことをあらためてこの場で御礼申し上げます。

この条例制定は、今期で2期目となる山田区長の強い思い入れからスタートしたとの事であった。すでに杉並区内では「歩き煙草」による子供の顔面のやけど事故などが以前から問題になっていたとの事である、この現象はわが町甲府においてマスコミなどを騒がした事実をすくなくとも私は確認していない。

杉並区は人口密度1万5千人/平方kmであり、東京都心部においてはその周辺を作る一角に位置する土地柄か、昼間人口が夜間人口のそれを下回る地域となっている(昼43万4千人、夜52万人との事)。また犯罪発生率においては、23区中空き巣2位、引ったくり5位にランクされており、「犯罪の多いところは道が汚い」というブロークンウインドウ理論のとおり、JR阿佐ヶ谷駅から区役所までの中杉通りおよそ700メートルには2,000本のタバコの吸殻が捨ててあったと言うことである。この解消に向けて今回の「安全美化条例」の制定と、同時にモデル地区としてJR荻窪・阿佐ヶ谷・高円寺駅周辺での路上禁煙地区を決定する事としている。

此処までの経緯で、特にこの3駅の周辺住民に対してはおよそ3万枚のチラシを配布し、環境清掃部職員が駅頭において宣伝用バンドエイドの配布を行い、各地で説明会を開催したとの事である。そしてこのモデル地区決定に際しては区政モニターからの意見聴取やアンケート、ホームページなどでの公開を行い、住民にひたすら理解を求めてきたようである。

ここでの問題点は千代田区のように外来者が町を歩くのではなく、街を歩いているのは区民であるとしている。この事から罰則規定は凍結してあるとの事だが、実際の罰則規定は地方検察庁と協議を終えたものであり、いつからでも徴収できる体制にはなっているようである。ただし徴収に対しては区の職員が徴収を行うことが原則であり、今回のスタート時点のように一部を警備会社に委託している現状ではなかなか難しい問題が出るようである。
最後にこの条例は「煙草」に限ったものではなく、ガムのかみカスや空缶空き瓶、自転車バイクの放置など幅のある条例であること。指定地域も一定の期限が来たら見直しがあって当然だし、そこで説得だけで遵守できないようであれば課金もやむなしと言う姿勢で臨んでいるようである。杉並区と言えば「レジ袋税」と言われるように課題を着実にクリアしてきているだけに、この環境美化条例においてはどのように解決してゆくのか先鞭をつけて頂きたいと考える所である。
ちなみにこのレジ袋については26%の住民が受け取りを拒否しているようだが、これを何とか1/3に引き上げたいと考えているようである。現状わが甲府市ではこのレジ袋でゴミを出すことが可能となっているので、ここで新たにゴミとなるゴミ袋を買ってまでゴミを出すという住民は少ないのではないか。しかしこの事も今後に考えねばならない「ゴミ有料化」というハードルを越える時点で、あらためて「マイバッグ」運動が起こってくると思われるのだが。
以上調査報告といたします。
新政クラブ 野中一二
視察報告・2003年9月28日
杉並区安全美化条例PRチラシ(136KBの画像です)
この報告書を書いていて9月28日地元紙の朝刊に「千代田区の路上禁煙条例」についての記事がありました。私どもは千代田区にも調査の申し入れをしていた所ですが、この記事によると全国からの問い合わせで連日かなりにぎわしているとの事、これでは致し方ないか。
この記事によると巡回監視員には今年4月から警視庁OBを10名採用との事、科料二千円の徴収については当初6〜7百件ほどであったが現在は3〜4百件で推移していると言うこと、やはり罰則規定のなせる技であろう。すでに現在では千代田区の路上で昼休みなど煙草を吸いながら歩行している方はほとんど見かけなくなっていると言う。すると次に問題となるのは喫煙者に対する場所の提供になるのであろうか、実際ここまで行かねば公平にならないだろうしその地域で消費され、還元されている煙草税に対してもそれはそれで無視できない金額であるのだから。いずれ全国津々浦々で「歩きながらの喫煙は常識外」と言った自然発生的なルールがでてくることに期待したいものだ。
車のナンバーを外し、ボンネットを開けて放置しても、1週間で何も起きなかった。しかし、フロントガラスを割ったところ、10分後に2名の親子がバッテリーを持ち去って、続いてタイヤが持ち去られ、さらに落書きがされて、そして1週間後に完全に破壊された、というフィリップ・ジンバルド教授の実験があるそうです。「窓を割った」この実験から「ブロークンウインドウ理論」と命名されたとの事です。
落書きが多い地域では、軽犯罪が起きやすい、軽犯罪が多いと凶悪犯罪が増える、というように小さな問題を放置する事による連鎖的な問題の拡大を説明するのに、このブロークンウインドウ理論が適用されます。誰にも管理されていないと感じた場合には、そのものを略奪や破壊しても罪悪感が薄いからだと説明されます。
この手法に着目したニューヨークのジュリアーニ市長がこの理論に基づく対策をニューヨーク市に導入して、落書を消し、歩行者の信号無視や空き缶の投げ捨てなどを取り締まったら凶悪犯罪が激減した。
日本でも札幌警察が取り入れて、すすき野で違法駐車を徹底的に取り締まることから始めた。1日700台あったものが1年後に200台まで減少。ぼったくり店も1/3に減少した。犯罪率が12%減少した、ということです。
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