この施設は、八女(やめ)西部広域事務組合として筑後市周辺八市町が集まり、ごみ熱分解・焼却溶融施設、不燃粗大ごみ処理施設を共同運営しているところである。
完成が2000年3月31日と非常に新しく、またここで導入されている「都市ごみ熱分解溶融施設」は実証設備として第一号機であり、目下全国的に注目されている施設である。
ここでの設備は220トン/日(110トン×2炉)粗大ごみ処理施設50トン/日(5時間)となっている。
1―受入工程
ビットアンドクレーン方式によりごみをホッパに投入し、2軸せん断式破砕機でおおむね200mm以下に破砕した後、ごみ供給コンベアを経て定量的に熱分解ドラムに供給する。ここでの破砕は、熱分解ドラム内でのごみと電熱管との接触を良くし,熱分解を容易にしている。
2―熱分解工程
ごみを熱分解ドラムで熱分解し、熱分解ガスと熱分解カーボンという微粉炭燃料に近い性状に改質する。ドラム内では多数の伝熱管が配置されており、その中を流れる高温空気によってごみを450℃まで間接加熱する。熱分解ドラム内は空気を遮断しているためほぼ無酸素状態であり、450℃と比較的低温である事から、ごみに混入している鉄などの金属類は酸化せず、アルミは溶けていない状態での回収が可能である。また約1時間をかけてゆっくりと熱分解を行うためごみの質的変動を熱分解の段階で吸収し、後段の燃焼溶融炉での安定した燃焼を可能にしている。
3―分別工程
熱分解ドラムから出てきた熱分解カーボンと金属類及びガレキ類を冷却した後、ふるい磁選機、アルミ選別機によって分別し鉄・アルミ等の金属類は有価物として回収する。従来の炉ではアルミは溶けて炉内付着の原因となり、鉄は酸化していたため有価物として回収できず埋立処理していたが、ここでは回収した鉄・アルミ等金属類は有価売却し有効利用が図られている。またガレキは1mm以下に粉砕し、熱分解カーボンと共に燃焼溶融炉で燃焼、溶融し、スラグ化する。
4―燃焼溶融工程
熱分解ガスと熱分解カーボンを燃焼溶融炉で燃焼し、灰分は溶融スラグとして回収する。熱分解カーボンは熱量の安定した微粉炭燃料に近い性状であるため燃焼はきわめて安定しており、また多段燃焼による旋回溶融方式の採用により、1.2という低空気比で約1,300℃の高温安定燃焼が可能である。そのためCOの発生はほとんどなく、ダイオキシン類及びNOx(窒素酸化物)の生成も抑制できる。また空気比が低い事により燃焼溶融炉内は外部燃料を使用しなくても高温を維持する事ができ、灰分の溶融スラグ化、いわゆる自己熱溶融が可能となっている。スラグについては旋回溶融の採用で炉内壁を伝わり水槽で回収するいわゆる水砕スラグとして排出されている。
5―高温空気回収工程
燃焼溶融炉から出た排ガスと高温空気加熱器で熱交換を行うことで、ごみを熱分解するための高温空気を回収する。高温空気は高温空気加熱器と熱分解ドラム間を循環しており、約520℃で高温空気加熱器を出て熱分解ドラムでごみを熱分解した後、約300℃で高温空気加熱器に戻り再び排ガスと熱交換を行う。この熱回収システムによりごみの持つエネルギーでごみを熱分解できる。
6―燃焼ガス冷却・余熱利用工程
高温空気と熱交換した排ガスは約600℃で廃熱ボイラに入り余熱に必要な蒸気を回収する。ここでは400℃、40気圧という高温高圧蒸気が回収可能であり、また燃焼溶融炉での空気比が1.2と小さいため排ガスの持ち出す熱量が小さく、高い発電効率を得る事ができる。この施設では特別高圧電力を避けるため1,950kw発電量に抑えているが、発電した電力は施設内で使用し、余剰電力は売電収入を得る事でさらにランニングコストの削減を図る事ができる。
7―排ガス処理工程
廃熱ボイラを出た排ガスは減温塔で170℃まで減温され、2段階バグフィルタで排ガス処理を行っている。第1段階では除じんを目的としているが、ここで回収された飛灰は再度燃焼溶融炉に戻して溶融し、スラグとして回収している。また第2段階では脱塩・脱硫処理を目的としており、ここで回収された脱塩残渣は塩化カルシウム+石灰混合物の形状で最終処分されることとなる。しかしこの処理をナトリウム処理にすることで回収物を工業塩として取り出す事も出来、この場合は海水放流も可能である。そうなれば最終処分に回るものは限りなくゼロとなるこのシステムである。

(物質収支表)

(熱収支表)
ここで表されているダイオキシン数値は、国の新基準目標数値をはるかに下回る数値である事は言うまでもない、このように新しいタイプの焼却溶融炉がこれからのごみ焼却の先導的な装置になってゆくのであろう。先に研修させていただいたガス化改質炉とこのガス化溶融炉などが、これから先の地方自治体の選定される焼却炉になろう事は容易に推測できるものである。
(「ごみをいただきます」−平成13(2001)年7月発行−より抜粋)
視察研修・2001年5月28日・29日
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