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神奈川県相模原市

相模原市南清掃工場

2010年8月25日 視察報告

相模原市南清掃工場
道路から見る2本の煙突

甲府市・峡東地域ごみ処理施設事務組合は、いよいよ次のステップである機種及び焼却方法の選定の参考にすべく、昨年に引き続き「最新焼却炉の視察」と言う事で、本年(2010年)4月より本稼働した相模原市南清掃工場の視察となった。

この焼却工場は相模原市のほぼ中央に位置し、周囲を工場などが取り囲む場所にあり、昭和55(1980)年から操業してきた旧工場の建て替え施設と言う事で平成12(2000)年より計画され、平成18(2006)年度から平成21(2009)年度にかけて建て替え工事を行ってきたとの事である。
確かに大きな煙突が工場集積地に2本立っている光景は不思議な感じがするのだが、そのうち円形の物が旧工場の煙突で、四角に見えるのが新工場の煙突であった。

工場建設が迷惑施設建設であるということはさておき、ここでも廃温水を利用したプールや公園・温室といった日本全国で見られる住民サービス施設や、太陽光・風力利用の地球にやさしい施設としてのハイブリッド型街路灯などがやはりあった。これらについて、おそらく相模原市でも住民説明会を開催し、何度となく住民の意見を聞くうちに集約されてきたであろうこの様な付属施設が、結局は住民が負担すべき税金として跳ね返ってきているという説明には耳を傾けなかったに違いない。この事は今後甲府市を含む4市で作る中間処理施設に対しても当然考えられるべき問題なのだが、真の住民福利施設とは一体何なのかと言う大前提を覆すような施設だけはごめんだなと感じてしまった。

相模原市南清掃工場
各説明版とてもわかりやすい

施設概要については平成14(2002)年以来まとめている小生出版の冊子「ごみをいただきます」などですでにかなり詳しく記載しているので、一部については省略させていただく事とするが、今回の炉が「流動床式ガス化溶融炉」と言う事で初めての視察であったので少しだけ触れておく。

簡単に言ってしまうと高温(590度前後)に熱した砂とごみを接触させ、その成分を可燃性ガス及び灰分・炭化物に分解し、その内比重の重い鉄分などの金属分(アルミを含む)を排出した後、焼却溶融炉で1,200度の高温で再燃焼させ、灰分を溶かしてスラグ化しそれを水で瞬間冷却して砂のような状態に固化させたものを資源利用するという工程なのである。
従前技術では高温の砂の上で投入したごみを分解しつつ完全燃焼させて焼却灰として排出していた部分に、その次の工程である燃焼溶融工程をくっつけた形と考えれば簡単である。

ではなぜこのような炉になったのか。

答は簡単である、つまり溶融する事によって骨材などへの応用範囲が広くなり、最終処分と言う工程を考えなくとも良いという事で政府主導によって溶融工程を備えた焼却施設への補助金が手厚くなったからである。
しかしこれには落とし穴ともいえる事態が控えており、資材として使うためには安定したスラグである事が必要であったり、いわゆるエコアスファルトとして使うには、10パーセント以上の混入は技術的に難しい事(民間メーカーの自主検査によると、10パーセント以上のスラグを混入した場合はアスファルトに粘りが無くなり、道路面が交通量によっては波打ってしまう事がわかってしまった)など、次々と安易な補助制度による誘導のミスが露呈してしまっているのだ。

相模原市南清掃工場
クレーンの実物図
1つかみ 6.25t 12.5立方メートル

確かに焼却灰として処分するよりは1/3の体積になっているので最終処分場の延命措置は図りやすい、しかし当初予定した土木資材としての再利用と言う点ではぶざまな結果になってしまっているのである。
しかも今後従前のような公共事業が続くという保証はだれにもできず、ましてテトラポットへの混入については重金属の溶出問題でGOサインが出されていない資材は、その他公共施設用としても取り扱いは難しいのではないか。
余談ではあるが、それならば焼却灰を高温長時間燃焼して作られる完全無機の砂のほうが活用の方策は見えてくるのではないか。ここでは私の個人的な見解を述べるのは止めておく。

この施設が完成して以来、インターネット上ではずいぶんと故障が多いなどと書き連ねられているのだが、当日の視察で感じた事は、「ずいぶんと平常運転が続いているものだ」という感想であった。
少なからずどのような機械でも、完成試運転からすべてが順調だなどと言う事はあり得ない。まして焼却トン数などからいわゆる概要はあるもののオーダーメイドに近い施設がこの様なごみ処理施設であるとするならば、試運転以来およそ10カ月で大小トラブルが200件程度と言うのはほぼ完ぺきに近いのではないか。おそらく市民団体と言う名前の方々であろう、そのあたりの機械的事情を理解しておいたほうが良いのではないか。


相模原市南清掃工場
外にあるハイブリッド街灯

問題点

甲府市・他3市では考えられないのだが、相模原市はごみの分別があまり進んでいないようである。ジュースの缶やビールのアルミ缶なども分別することなく燃えるゴミとしてひとくくりで排出してしまっているようだ、例えば資源物回収によって地域が潤うという行為や、ミックス―ペーパーの回収によってごみの減量化を推進し、焼却炉の負担を少なくするといった工夫はどうやらされていないようである。

施設関係者は「炉が新しくなったからと言って、市民の皆様にごみを分別してくださいというお願いはできない」と言っていたのが印象的である。そこで無駄にされてしまう資源(焼却時の酸素をも含んでいる)は全地球的資源なのだが。

施設の特徴

廃熱を利用した蒸気ボイラー発電は最大10,000キロワットあり、施設全体の電力のみならず、周辺施設にも利用し、一部は売電しているという。その単価は以前より高く買い取られていて、年間2,000万円ほどの収入になるという予想がされている。これだけあれば相模原市発のグリーン電力証書も発行できるのではないか、楽しみな施設である。

相模原市南清掃工場
ごみ投入口と分別台
蒸気タービン発電機
相模原市南清掃工場

今後

ごみ投入口には一台の分別台がついているものが置いてあった。抜き打ち検査用の台であり、持ち込み業者によっては「燃やせないごみ」を混在させてくる業者があるとのことで、ここで抜き打ち検査を行っているという。これも排出者責任でしっかり分別する必要があり、ごみ出しのマナー徹底は今一歩といった感じは否めない。

この様に一連の工程では、サーマルリサイクル及びマテリアルリサイクルに力を注いでいるこの工場の姿がしっかり確認できている。大都市にあってはいたしかたない実情も理解できるのだが、基本は「分別」だという事を改めて感じさせて戴いた。

相模原市南清掃工場の皆様ありがとうございました。

 

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