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100年で考える都市計画

これからの甲府都市圏

4.甲府都市圏の交通と都市計画

4.基本は歩いて暮らすこと

この様に整備した交通体系をもってしても、個人の自由は尊重せねばならない。しかし、都市全体として考えたなら、前出を繰り返すようだが「公共交通」の充実によって快適な生活空間は実現できるはずである。そうして現状の生活空間を変えないように努力しながら、一方では徐々に道路幅であるとか地域指定区分などを時間をかけながら変化させ、これら交通問題を解消してゆくといった手法が必要になってくる。

その第一歩は「ポケットパーク」の設置であろう。これは循環バスの停留所であるとか、フリーライドバイクの保管場所にできれば隣接した場所など積極的に取得し、30平方メートル程度の空間を公園として設置することである。あるいは道路に面した小規模空閑地などを取得し、同様ポケットパークを作って行くことが良い。この空間は高木が一本あればよく、それを取り囲むように低木があれば尚良い。ベンチ等(富士吉田市にある山梨県立環境科学研究所にあるベンチのように、座った瞬間ほっとするようなしっかりとした価値設計を持ったベンチが欲しい)を効率的に配置し、一時の安らぎが得られるように工夫してあれば一層好ましい。

都市公園というとニューヨークのセントラルパークや東京の日比谷公園など大規模公園がすぐに思い浮かぶ。勿論都市部のオアシスとしての公園がしっかりとした規模であることは、ヒートアイランド現象(都市化が進むと道路はアスファルトで覆われ、コンクリートの建物が立ち並ぶようになる。其処では日光が当たって温度が上昇するのに輪をかけて夏の冷房廃熱が発生し、都市化が進んでいない地域よりも温度が上昇することをこの様に呼ぶ。昨今では透水性のアスファルトを利用し、その中に水分を蓄えて日差しによる直接の輻射熱を和らげる工夫や、建物の屋上や壁面に植物を生やしてこの現象を少しでも緩和しようとする動きが活発化している)の予防や都市防災上の観点など、其処で暮らす人々にゆとり以上の様々な効果をもたらしてくれる。しかしここで言うポケットパークは、役割分担上その果たす機能として料理で言う主菜ではなく日日の生活に密着した「惣菜料理」のような物である。いわゆる休日の暮らしが大規模公園であるならば、平日の暮らしの延長上に位置するのがポケットパークなのである。その様々な意味での機能から、まさに都市のボタンの役割を果たす公園として位置付けられるのではないか(例えば今後登場してくるであろう小規模地域エネルギーセンターとして、燃料電池を使った発電機能を備えた施設の設置場所、あるいは防災備蓄倉庫や地下貯水槽を備えた地域防災センターなどである)。人間の体にたとえるとポケットパークは動脈的な公園であり、大規模都市公園の持つ静脈的役割とはかなり趣を異なる物とする物である。また、ここで述べているバス、自転車、そして歩くと言う一連の動きの中ではまさに「ハブ(中継点)」としての役割を持つ重要な地点となりうるのである。

この様にして設置されたポケットパークは、当然周囲に暮らす人々に対して「井戸端」となり得るだろうし、通過する人々に対しても休息の場として十分に機能する事となるのである。結果としてこの様に整備された都市においては、人々の歩行距離は自然と延長されることとなり、同時に住民はこの事から知らず知らずに健康な基礎体力が備わってくるのである。古来坂道の多い長崎や瀬戸内の島の人々は高齢になっても元気で自活している人が多いと言う、勿論食事などの要素にも起因することが多分にあると思えるが、この様にポケットパークを利用しながら町の中を歩いて生活することは、自然ウエルネス運動ウエルネス運動とは栄養、運動、休養等を総合した健康生活を実践するための総合活動をさし、この事業の多くは健康生活の実践を推進しながら福祉の向上を図る事を目的とした地方自治体によって行われている例が多い、甲府都市圏近郊では長野県佐久市、都留市などがこの活動を熱心に行っており、結果高齢者保険料の減額にまでつながっていると言う)を毎日行っているような物であろう。つまり健康管理を自らの手で毎日行なえること、しかも気軽に市街地に出かけることで常に新しい刺激が生活の中に入ってくるようになる。この様な動きが自然活力となり、生活に潤いと活気をもたらす事に繋がって行くのではないか。この様なことこそまさに「歩いて暮らすこと」の大切さではないだろうか。

歩いて暮らせる街づくり」とは、あくまで手段の提供であって行動を起こさせる因子ではない。其処には底辺に様々な要因を含んだ街づくりのソフトが流れている必要があり、それらに立脚した一定のハードが必要となってくるのである。そうして起こった一つの結果が「歩いて暮らすこと」に結びつくのである。

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