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100年で考える都市計画

これからの甲府都市圏

5.都市近郊農林業のあり方

この章で取り上げる農林業政策は国家的見地から取り上げるような物ではなく、かなり的を絞って「都市近郊」と言う部分での農業政策および緑地の保全と言う観点を含んだ林業について述べてゆきたい。

1.日本農業の現実

都市における緑地とは、公園、周辺自然林などに限ったものではない。幸いわが国では、その国土の多くを山岳地帯で形成されており、良好な緑の空間は確保しやすい環境にあったはずである。そしてほぼ全般的に急峻な地形から、それほど広くは無いが一定の裾野の広がりを持ち、其処では水田が多く見うけられる。この水田こそ、日本が誇る「水耕栽培」の原点であり、一定の堆肥等の肥料を与え続けてはいるが二千年の時を過ぎても同一作物を同一場所で育てると言う行為を繰り返し行ってきたのである。これこそ山から流れてきた水を上手に使い、そしてその水から多くの肥料分を稲に吸収させ続けてきた「水耕栽培」なのである。と同時に、都市近郊における緑の確保という点からも非常に優れた物であり、なおかつこの水田があることによって「治山治水」に対して大きな役割を担ってきたのではないかと推測する。一部平坦地の少ない地方では急峻な斜面を切り開き、「棚田」(我々の幼少の頃には段々畑とも言った)と呼ばれる非常に狭い面積の水田を階段状に造り、主食の確保に努めた。それらは食物を海外交易によって得ると言う行為が行われるようになるまで、概ね稲作適地に対してはわが国国民は水田を営々と作り上げ、そしてそれを耕作し続けてきたのである。しかし昨今の機械化された農業や農業従事者不足は、その様な急峻な土地を切り開いて行う人手がかかる農業に対しては逆風となり、次第にその様なあまりにも日本的な風景は消えつつあるのが現状であろう。この様なノスタルジックな解説は他に譲るとして、都市に密着したこれからの農業の形とは一体どのようなものであるか。

現在の日本の農業、これほど厳しい状況に置かれている産業もそう無いのではないか。ひとえに日本に於ける土地単価が非常に高い事、土地集約型産業に対してこれほど厳しい条件は有り得ない。もう一つは労働に対する収入が一定の水準を上回らないこと、この二つが上げられる。この事が後継者に対して農業を放棄させてしまう大きな原因となり、「魅力の無い産業としての農業」になってしまっている。生産量が落ちた分をカバーすべく始まった海外交易による農産品の輸入が発生し、もう一つ経済原則による安価な海外生産品が日本の食品流通市場を席巻する事となってしまっているのである。当然輸入農産物に対しては食品としての安全性など、基本的に満たされなければならない制約はあるのだが、一定の条件下すでに日本農業は国際競争力を持たない産業といっても良いような状態にあるのだろう。

しかし農業には「食糧自給」と言う国家的大前提があり、人間が生きてゆくうえでどうしても必要となる食糧の生産と言う非常に重要な使命を持っている。この様な現実があり、且つ自国民に対して安全な食糧を供給するという、これもやはり国家的使命がある。海外で生産された食糧について言えば、ポストハーベスト(収穫された後、長期の輸送途上などでその品質が変化しないようにするため、一定の薬品処理を行うこと)の危険性、あるいは生産途上における使用禁止農薬(世界中でこれらの農薬に対してはそれぞれの国によって使用可能、もしくは使用不可能の基準がまちまちである)による危険性など、一定以上のリスク負担は当然考えるべきであり、価格一辺倒ではこれら農業生産物は語れない。とすると一体これからの農業はどのような方向で進む事となるのであろうか。この甲府都市圏における農業の実態を注視しながら、これからのあるべき姿を次に述べてゆきたい。

続く

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