野中一二のページ | 活動 | 議会 | 街づくり | 環境 | 言いたい放題 | プロフィール | サイトマップ | 掲示板 | ホーム | 戻る

100年で考える都市計画

これからの甲府都市圏

5.都市近郊農林業のあり方

2.甲府都市圏の農業

上空から見た全体像は、この都市圏の人口集中地域を取り囲むように水田と畑作地帯が広がっている。それらの農業地帯をどのような形で魅力のある地帯(ここでいう魅力とは、積極的に農業従事者が増加すること、あるいは就業希望者が増加することを意味している。例えば労働の対価としての賃金が一定以上得られること、精神的に満足できる環境にあることなど、満足度の高い産業に対して就業者数の増加と言う現象につながってくると考える事から、この言葉を当てはめている)に変えることが出来るのか、一定の制約が無いとするならば、ここでは大きく2分化して考えるのが良い。

まず、水田区域・畑作区域の二つに分け、水田区域については現状の規模からおよそ10倍から20倍に規模を集約し、あぜ道を取り去って平面の水田を造ることであろう。そうして大規模化した水田については徹底的に機械化し、アメリカ西海岸周辺(当初アメリカではコンバインと言う大型収穫機を使用し、稲に対してもあたかも麦の収穫と同じような形で行っていた。しかしそれら陸稲は味と言う点では水稲に及ぶべくも無く、家畜の飼料としての用途に販売されていたが次第に水稲に切り替えて行ったと聞く)で行っているような大規模水田を模して稲作を行うようにする。この事で価格競争力を高め、且つ一定の水準以上の品質を持つ米を生産するようにする。実際現在の稲作はすでにある程度合理化されており、農業機械などの導入についてもかなり進んでいる。しかし、田植え・稲刈りと言った作業は近隣の農家と時期を同じにする場合が多く、ある一方では機械化のメリットが享受出来ていないといえる(現状は農家一軒ずつがそれぞれ田植え機・刈り取り機といった農業機械を導入している、そして多少の協力はあるとしてもそれぞれが自らの水田で作業をしているのである。過去には地域JAが中心となりこれら農業機械を購入し貸し出すことも行ったが、その使用時期がほぼ同一になり調整が付かなかったので次第に個別に小型の機械を購入して行った)。それらについてこの様に大規模化し、あぜを取り除くなどの方法によって水田一枚あたりの面積を広げることで、集団農業に近い形態の稲作が出来るのではないか。幸いに現在水田が広がっているこれら地域では土地の高低差があまり無く、この様な大規模化が容易に出来ると思える。さらには稲作が現在行われている農業生産品目の中で一番機械化が進んでいると言われている、そこには市場原理が働き、より多くの機械が開発されている事などがあげられる。またこの様にして大規模化すれば、そこでの稲作農業従事者にとっても作業分担が出来る事となり、いわゆる「農業の会社化」が推進する事となるであろう。

畑作の多品種化がもう一方で取り上げられる。これについては「都市近郊の農業はその近郊都市に供給する」ことを第一次の目標とする、と言う大前提をまず設定することからはじめるべきである。ここでの畑作農業は「特定産地」(妻恋のキャベツ・八ヶ岳の高原野菜といった地域ブランドを目指し、その気候風土を味方として行う農業)を目指すものではなく都市の需要を満足させることを第一と考え、「適地適品」と言う少品種大規模生産を行うのではなく、都市に居住する人々の多岐に渡る要求を満たすことを考える農業を行うべきなのである。昨今では群馬県の一地域が、共同で首都圏の特定量販店向け野菜を生産している。この地域では「朝取り新鮮」を売り物にして共同で多品種を栽培しながら、首都圏の量販店に向けて一斉出荷を行っている。つまり当日の朝収穫した多種類の野菜を、直送便でそれぞれの量販店に送り、消費者の好評を博している。ここでは決して輸入野菜などでは得ることの出来ない「生産者の顔」を前面に出し、尚且つ当日の朝取れたばかりと言う野菜にとっての命ともいうべき新鮮さをも併せ持って販売している。この様な生産の差別化・協業化がこれからの畑作農業にも必要となって来ているのが今の時代ではないだろうか。

ここで示した例のごとくの販売方法は、「都市近郊農業」だからこそ出来る方法であり、単一品種大量生産によってブランドを構築すると言った従来型の農業には考えられない手法なのである。この手法について述べれば「農業従事者コミュニティー」と「消費者コミュニティー」の「生産物を介在とした会話の世界」と考えることも出来る。農産物出荷者はその商品に対して「安全」と「安心」をこめ、それを購入する人々はその「対価としての正当な報酬」として代金を支払う、そんな流通の原点がここに存在することになるのではないかと考える。またこれらの商品の販売については一定の枠内での複数商品を同時に販売することで、消費者のニーズにあわすことも可能となりえる。そのために多品種生産を行うわけであるし、その時期にあわせた旬の商品が一定の品種供給できる仕組みになるわけである。細部について申すならば、パック詰めなどの通常販売方法は出来るだけ避けるようにし、出荷の手間を軽減することで一定の単価を維持する工夫も大切だ。せっかくの鮮度があるのだから「土付きのねぎ」「土付きの大根」といった「大地を売る工夫」も必要なことになってくる、同時にプラスチックパックなどに詰めない事で「環境配慮」を行い、購入してゆく「消費者にも参加意識」をもたらすなどの一層の工夫が大切なのではないか。もしこれらの農産物を前出ポケットパーク単位での直接販売にするような場合には、そのロスを出来るだけ抑えるべくセット販売等の工夫も必要となってくるであろう。

この様な形での農業と言う産業を推進するについて、現在言われている「農業法人」などの法人化、会社化を導入する必要がある。従来のようなそれぞれ自前の持分耕作地による収穫に対して、この会社化では集団で一つの目的に向かって耕作する事を前提としている。そこでは過去からの都市計画で行われて来た手法の内「区画整理事業」をこの農地に当てはめることとする。そうして大規模に水田等を改修し、機械化された水田耕作を目指すこととするのである。当然そこでは従来からの個人の所有という概念が邪魔になるのだが、その事はこの会社組織が「地代を払って借りる」もしくは「土地そのものを法人に対して現物出資する」という形にすれば解消することとなる。借地として利用する場合は、その額の概ねの目安は固定資産税評価額の10倍程度にとどめ、その額を一定の基準地代に定める事とし、その後には耕作者、地主がそれぞれ収穫による収益金額を適切按分することでこの組織を運営していくこととすれば良い。また土地そのものを現物出資した場合については、出資に対する配当金を、労働の対価報酬に上乗せして得ればよい。この手法は同時に畑作農業を行う場合の一定の規準にもなり得ると言える。その後この方法によって適切按分された収益について過不足が生じた場合については、そこでの基本的地代等の調整によってその歪を解消する事も重要な作業となってくる。但し、その土地の生産性如何で作物の収量が変化するなどの「農業におけるソフト」については、あらためて此処では全員に公開する事とする。その上で高年齢者などの基本労働力に対する支払いについては一旦は最低時給とし、その後この会社の決算状況によって決算賞与などの支払を持って清算する事とする方が好ましい。

ここまで近郊農業について一通りの意見を述べさせていただいたが、重要になるのはこの農業に対する労働力の確保ということである。現在それぞれの農家が一番頭の痛いこととは「後継者問題」ということに尽きるであろう、しかし場所を変えてみてみるとこの問題がネックとなっているのにはもっと違う要因があるのではないかと思えてくる。「対価としての正当な報酬」が得られれば、実はこの問題にも一定の終止符を打つことが出来るのではないか。望ましい形として述べた農業法人も当然企業であるから営利を目的とした生産活動を行わなければならない、同時に、生産品の適正価格での販売という問題も解決して行かねばならない。大規模な機械化農業としての稲作においての一定の理解は得られたとしても、近郊の畑作農業についてはどのようになってゆくべきなのか、ここで「高年齢者農業のすすめ」ということで解説してみたい。

続く

Copyright 2002 by NONAKA Ichini
野中一二事務所
400-0016 山梨県甲府市武田2-11-19
電話 055-254-4040  FAX 055-254-4042

[UP] [戻る] [前頁] [次頁] [目次] [街づくりレポート]