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いよいよ大詰めの市町村合併

報道によると2006年には現在の3,012市町村が1,762市町村となる見込みが発表されていた。

山梨県内の市町村の数では一時期の67市町村が、現在では47で推移しており、2006年には31市町村となり、以前の半分以下になる見込みのようだ。

いわゆる平成の大合併についてはいろいろな場所で論じられてきた事であるが、それでも最終局面にきて今年だけでも96もの法定合併協議会が解散や一部自治体の離脱に追い込まれているとしている。ここまで来たのにと言う残った関係者の言葉には恨み節が聞こえてくるのだが、それらのほとんどが「新自治体名称」「新庁舎位置」などいわばエゴとも言える綱引きの結果であるのがこの「市町村合併」の難しさなのだろう。

またこの報道によると全国で最も市町村の数が減少する見込みなのが大分県で70パーセント近い減少率になるようである、続いて60パーセント台の減少率と成るのが秋田、新潟、岐阜、愛媛、長崎などであり、九州、中国、四国地方でこの動きが顕著に表れているとしている。一方東京では合併の動きは全くなく、神奈川、京都、大阪と言った大都市圏では20パーセント以下に留まり、当初政府の目論見どおり財政的に厳しい地方においてこの動きが顕著であると締めくくっていた。

政府が当初望ましいとして推進していた市町村の数は約600と言われていた。そのときの日本の自治体数が約3,000であった事についてはすでにこのレポートで触れている、その後切りが良いと言う事で想定自治体数は1,000となり、数字的にはほぼこの方向に向けて進んでいると言っても良い。この様な事はどの程度市町村の合理化につながっているのだろうか、これについて触れているレポートは意外と少ないのではないか。そこでざっとではあるが山梨県にとってはどの程度県内全体で行政のスリム化が出来たのだろうか検証してみたい。

少なくとも67から31になる事で、首長の給与が半減している。意外と知られていないが議員の給与は市、町、村とで大幅に違っている。ちなみに山梨県下では最高額が甲府市の550,000円であり、最低は芦川他の少数村の150,000円となっている。しかし首長の給与はそれら少数村でも6,000,000円近くが支給されているので、毎月約2.2億円もの人件費が削減できてくる。

もちろん議員の報酬についても36町村が減少しているのだから一定規模の削減は出来ているはずである、概算ではあるが月額約1億円と言ってもよいのではないか。職員給与についてはどうなっているのだろうか、現時点では残念ながら公務員は解雇出来ないので殆ど合併効果は現れていないと見るのが正しいだろう。

それでは肝心の作業量についてはどうなっているのだろうか、この事についても相変わらず分散庁舎での作業を強いられているうちは減少する事を期待出来そうにもない。しかしながら一部では重複作業についてすでに見直しが進み、今後事務量についてもオンライン対応などが進む事で、一定の減少は見込めるようになって来るのではないだろうか。

ここで一番関心を持ちたい事はなんと言っても地方自治体に「力がつく」のかどうかであろう。つまり合併する事の意義の第一目的に、合併する事でこれからの「自治体間の競争に勝ち抜く力」を持つ事が出来たかどうか、という本質が問われてくるのはまもなくである。

すでに行われている「三位一体の改革」は、その財源を基礎自治体(住民を直接対象としている地方自治体、つまり市町村)に持たせる事で自助努力と自己責任によって住民の福利を守りつつ行政推進を行ってゆくと言う原則があるはずだ。従来の「交付税措置」が最後の砦のように後ろに控えていると言った甘えの構造から、住民には出来るだけしかサービス出来ないという厳しい現実の世界に引き込まれようとしている今日、この市町村合併と言うのは実は大きなチャンスだと言う事に気がついていない自治体があまりにも多すぎはしないか非常に心配だ。

次なる関心は、新自治体誕生後「庁舎の位置や住民に対する公平なサービス」と言うことが後回しになって、とりあえず合併すればそこから協議してゆけると言った安易な考えがたぶんに見受けられるが、果たして大丈夫かと言う事である。

ちなみに甲府市と隣接している「笛吹市」においては仮庁舎を旧石和町役場に置きながら新しい庁舎位置は今後検討してゆくとしつつ、11月14日開票となる新市長選挙と市議会議員選挙を行おうとしている。あるいは従来の市町村でばらつきのあった公共料金の一律化といった問題や、広域事務組合によるもろもろの事務事業など、この新自治体が抱える今後の課題は大きなものだけでも20以上になっている。

同じく隣接の「甲斐市」に至っては、実質的な新市の都市計画はどうやら県が後押しして作ったもののようで、中央線竜王駅周辺の開発と言ってもその駅自体が活性化することについては周辺人口が後10万人程度必要になってくると思われる。

つまり立派に整備された駅周辺ではあるが、電車の運行は上り特急が2本、下り0本、上り普通電車が41本、下り電車は44本、しかもこれを朝7時から夜23時までだから一時間に2本ずつしか運行されない駅ということになる。増発をかなり要請しているようであるが、利用者の数字が物を言う世界ではこの実現はきわめて難しいものであろう。ここでも全国シェアを誇るコンサル会社が作り上げた想像図に踊らされて、実際の開発を推進してみたものの出来上がった代物は駅前駐輪場と立派な駐車場と言う危険性をはらんでいよう。これら施設に対して新市の周辺部に居住する住民から反対運動などが噴出しない事を祈りたいし、もちろん出来上がった後その周辺の住民が利便性と快適性を十分謳歌出来るようなそんな都市の計画であってほしいものだ。

そして財政状況の改善がどのように進んでゆくかと言う事だが、これについてはすでに山梨県内で合併を終了し、全国初のカタカナ名の市として有名になった「南アルプス市」での事例が端的にあらわしているのではないか。つまり旧各町村の間で予算の奪い合いが続き新市長が苦悩していると言う事だが、ここでは従来がすべて町村として独立した運営を行っていた。当然地方交付税不交付団体は一つもなくすべて交付税措置を行っていただきそれぞれの自治体運営を行ってきていた、それらの自治体が合併してもやはりそこには交付税(合併しても一定期間は従来の交付税が保証されている)がつかないと運営出来ない財務内容しか残っていないのだ。

つまり市町村合併では1+1は2とならないのである、それどころか場合によっては1+1は1以下にさえなってしまうのである。このことは従来の感覚を引き継いで市として大きくはなったものの、その分かかる費用が増大してしまう事に気付かず事業を推進しようとすると必ずあたってしまう大きな壁のようなものなのである。これに加えて従来の町村ではありえない市としての業務が加わり、委任事務(本来ならば国や県が行う業務を委託料をもらって市などが行う業務)などが増える事は想定しえただろうか。

以上のような事を考えるにつけて、市町村合併は一部に大きな痛みを感じないと実際はうまく行かないと言い切ってもよいのではないか。但し、たとえば事務効率の向上ということについては人口30万人程度の市が最も効率よく運営できるとしているが、甲府盆地ではこのような市の誕生は当分無理そうである。ここまでの規模に甲府市がなったとすると、山梨県不要論が出てしまう事になろうし、誕生したばかりの笛吹、甲斐などの市も大きく合併しなければならないのだから。

この様に実際は難しい舵取りを余儀なくされる市町村合併であるが、この難しさを少しでも取り除き、多くの市町村に合併を推進してもらうために「合併特例債」と言うものがあるということも以前のレポートで少しだけ述べてある。

これを今一歩進めて考えると、今回の平成の大合併で合併をしなかった(特例債を使わなかった)市町村の住民は、この特例債で地域を作った方々の借金の65パーセントについての返済だけ受け持つ事となり、何か損したと言う感じがするのではないか。つまりこの特例債とはその借り入れて使った分の35パーセントが返済義務が生じ、残りは国負担(つまり国民等しくその負担を分かち合う)なのである。もちろん一定の資金使途は限られているのだが、たとえば甲府市で言う老朽化し耐震補強もままならない市役所の建設に対してもこれは使えるのだ。意外とこのことを知らない、もちろん議員の中にも市民の中にあってもである。昨今の税収不足の折、実にこれはありがたい助成金ではないか。

ますます特殊出生率が下がり、少子化の波は大きくなりながらやってくる。高齢化した「成熟社会」が進むと、食料品をはじめとして消費構造も変化してくる。どうしても避けて通れないとするならば、「自治体間で住民の争奪戦」が始まってもおかしくはない。その様な中で自立した行政運営を目指すとしたなら、これから一体どのようにしたらよいのだろうか。そこには茨の道が待っていようと、真っ暗な未来しか見えずとも、ひたすら信じる道を前へ進むしかないのだろう。

平成16年10月20日

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