野中一二のページ | 活動 | 議会 | 街づくり | 環境 | 言いたい放題 | プロフィール | サイトマップ | 掲示板 | ホーム | 戻る
2000年から未来の甲府へ PART−2・北部山岳地帯編 PAGE 4

荒川ダム周辺考―2

板敷への道

前回「荒川ダム周辺考―1」で捉えた部分から一歩踏み込んで周辺の散策を考えてみましょう。

この荒川ダムと言うのはそもそも水資源の確保・洪水調節・甲府市の水道用水の安定的な確保などを目的として造られたダムでありました。ダムの詳細については今回の目的とすこし離れてしまうのでここでは述べませんが、ダムの周辺に石碑等で説明してあります、ご覧になってください。

このダムはその事業規模としては昭和30年代に造られた西山発電所(早川町にあります)とほとんど同じ規模の工事でありますが、そこで働いた人々は4千人対2百人でなんと50分の1で作り上げたそうです。働いていた方々はほとんどが「オペレーター」で油圧機械や建設重機を操作している方々でした、30tダンプカーは当たり前と言った感じであったと聞いております。そのときに組んだ予算の中で、それら重機のタイヤ代がなんと7億円だったとか、この辺は日常の感覚をはづして頂いてもう一度このダムを見ていただくと、また違った感覚で捉えられるのではないでしょうか。

昇仙峡
巨木へ通じる道

このダムの周辺ですが、確かに水没してしまった村はその面影もありませんが、一歩周辺の山に入りますと「炭焼きかま」の跡であるとか、上流の沢から水を引きまた山仕事に通った踏み跡等が随所に残っており、そのあたりから往年の生活をしのぶことができます。

今回は車を能泉湖の辺においていただき、20分間ダムの東側通称「ロック山」を歩き、高成町に抜ける林道をしばらく上った所から「奥千丈林道」を入ることとします。ここは現在途中まで工事中で、毎年100mづつですが甲府市が工事を進めており、500mほどで行き止まりとなっています。そこから先は先ほど申し上げた導水用の木管を引いた跡をしばらく歩く事にしましょう。
もちろんこの道はこのあたりの山を整備する方々が日常的に利用しているのでこの様にきれいになっていますが、ここから先は完全な登山道です。しかも整備されていない部分がほとんどですから「ハイヒール・ハイカー」はお断りさせていただきます。本当にちょっと滑ったら命にかかわりますので、足元だけはしっかりと装備していってください。

昇仙峡
板敷大滝

30分ほど歩きますと次の目標「小中津森の千年桂」に出会えます。そこまでは右側の谷底から川の流れる音が聞こえてまいります、もちろん水面をうかがい知る事はできませんが、おそらく板敷大滝の上にあるもうひとつの滝の音でしょう。左奥に中津森のガレ場が見えますが、その下あたりが「板敷大滝」ということになります。

昇仙峡
千年桂

この木が「千年桂」です。圧倒されるその幹は目通り8mほどあり、これだけの巨木でありながらなんと「洞」ができていません。私はここにたどり着き、こずえ高く見上げたときに「あ、、トトロ」と思わず声を上げてしまいました。そうしているうちに耳の奥でホルストの「組曲惑星にある木星」が流れてきたのを感じていました。

昇仙峡
水が森三段

ここで10分ほど休憩を入れていただきますと次が楽になります。ここからはひたすら「板敷大滝」の上の滝に出られることを楽しみにしながら歩いてみましょう。沢を渡りますが、今のところ特に目印はありません。一番わたりやすそうなところがはっきりわかりますので、目印にしてください。ここからの道の横にも石積みされた炭焼きの跡がいくつも見られます。その都度焼いては別の場所に移動していったのでしょう、大変な作業だった事でしょうが、いわゆる昔の林業の姿を垣間見ることができます。そうして歩いて10分ほど行きますと、左手に滝の音が聞こえてまいります、ここが「水が森三段」です。下まで降りてみましょう、うっそうとした木々に囲まれた滝の正面に立つことができます。
左の写真は一段目だけですが、一段15m、二段三段がそれぞれ3mとなっており、実に風情のある滝です。この滝の二段目と三段目の横に石積みがありますが、これが下流の川窪部落まで水を引いた木管の始まりで、ここから水を取ったところの跡だそうです。

昇仙峡
小中津森の岩場

今回の「板敷大滝」上流の滝散策は実はここまでしか行けないのです。残念ですが板敷の渓谷は両岸がそそり立っており、この周囲どこへいってもいわゆる「のぞき」の体勢で下を見るしか方法がありません。後日談ですが、その滝を見るには先ほどでてまいりました中津森のガレ場を上から横切り板敷のはるか上を歩いてゆくしか方法はないとか。しかも最近は荒川ダムができたためその山に上る入り口のところが水没してしまっているのだとか、残念ながらこのルートでは板敷に下りることはできませんでしたが「千年桂」といい「水ヶ森三段」といいそれはすばらしい自然のなせる技ですから、ぜひ一度散策されることをお勧めいたします。

 

ここで一旦「能泉湖」の辺まで戻り、「野猿谷」に向かってゆきます。先ほどの川窪部落まで水を引いた木管ですが、昔はこの先野猿谷からはあまりにも険しすぎて引けなかったようです。それがゆえにこの谷の入り口はトンネルによって山をくぐっています。そのトンネルのすぐ手前に右側に案内板があり橋のたもとを下に下りる階段がありますが、此処こそ「板敷渓谷」入り口なのです。この橋の左側にちょっとした滝があり勢い良く能泉湖に落ちてゆくのをみると、ちょっと心を踊らされます。此処からも渓谷ですから足元は十分装備していただきたいものです。以前簡単に考えてこの渓谷に入られた方が、たった10分の散策ですが相次いで2人も大怪我をされています、自然に近づけば近づくほど厳しくなり美しくもなることを忘れてはいけません。

昇仙峡
木洩れ日

現在の板敷渓谷は、地元の観光協会の方や市の職員たちの手によって程よく整備されています。しかしここは下流の「昇仙峡・仙ヶ滝」といったハイヒールハイカー御用達の観光コースとは違います、短いコースですが野趣あふれるすばらしいコースなのです。しかもこんなに手軽に「深山幽谷」の風情を感じさせてくれるところは、そうめったに在るもんじゃあありません。そしてたった10分で絶景の「板敷大滝」に出会うことができるのですから、これはもう一足靴を用意してでもぜひこの滝にご挨拶といかない手はありません。

どうかこの自然が造ってくれた美しさを皆さんで大切にしてください、もちろん見ていただく分には一向に差し支えませんし、できるだけ大勢の方々に来て頂きたいと思っておりますが、決して汚さないでください。一旦汚したり破壊したりしますと二度と元には戻らないことをもう一度確認しておきたいと思います。

このようにして散策していただいた後は、地元の湯村温泉や、山懐に抱かれた積翠寺温泉などでゆっくりくつろいでいただくのも良いでしょう。まだまだ甲府にはすばらしい自然がたくさんありますし、ちょっと足を伸ばして頂ければそこかしこで自然が造ってくれた絶景に出会えます。こんなに狭い荒川ダムの周辺だけでも山盛りの出会いがあるわけですから、まったく甲府の北部は「宝の山」です。

 

今回の行程で大体3時間を見てください、もちろん一所でもう少し時間をかければ実際半日コースでゆっくり散策できるコースです。この奥昇仙峡と言われている一帯は北部山岳地域の秘境とでも言いましょうか、まだまだ自然が手付かずで残っている貴重な場所です。此処から奥の金峰山に至るまでの山々は、古くは金桜神社の神社有林として大事にされてきており、最近まで開発の手から遠ざかっていた場所でもあります。そのためまだまだ未発見の巨木があるかもしれませんし、今回のコースの途中で見られるような「広葉樹の混合樹林」(落葉広葉樹と常緑広葉樹が混在している林)などが実に美しく見られます。実際さあ行こう!!と言って出かけても、結構道も厳しい場所がありますが、その辺りについては今後の観光業者や行政、または森林愛好家たちの手である程度までの安全な歩道整備を説に望むところといたしまして「板敷への道」終わらせていただきます。

さあ今夜はゆっくり温泉にでもつかりましょう〜〜〜

Copyright 2001 by NONAKA Ichini
[UP] [戻る] [前頁] [次頁] [目次] [ホームページ]