2007年2月3日 完成まじかの歴史公園
いよいよ追いかけていた歴史公園整備事業の完成が近くなってきた。まるで追いかけっこのように25階の高層マンションとともに、甲府駅北口へその威容が腰を構えて見えてきたところである。一部には甲府市の開発方針がこのような違和感のある空間を作り出しているといった批判もあるようだが、都市計画の難しさと法律の狭間でゆれている地域のあり方の縮図が垣間見える空間でもある。
この整備の途中、北口の交番横にあった銀杏の木を移植するという話があった。地域の方々にしてみれば何気なく見ていたこの銀杏の大木だが、開発者の心に何か訴えるものがあったのだろう、無事移植されて山手門の東を守りつづけてくれる事となった事は実にうれしい事であった。このような何気ない風景の中にも、守りつづける必要があるものについてはしっかりと守り、そして開発すべきものは時の全力をあげて開発してゆくという心意気がきっとこの地域の方々に根付いてゆく事だろう。
今回の記録を残すに当り、途中気が付いたのだが壁塗り工程をすっかり落としてしまっていた。実はここでの工程は稲荷櫓工事の進捗と共に残してあったはずと思っていたのだが、何もそこでは記録に残していなかったというお粗末であった。しかし現在でも稲荷櫓の西側には、その工程が如何に大変なものであるかを資料として残してくれているので参考にしていただきたい。
ともかく3月28日には無事に竣工式を迎えることが出来そうである。そして当日は地元の方々によって薪能が披露されるという話も聞いている、柿落としは木遣りを御願いしてあるそうだから、こちらも必見であろう。「サマーINきたぐち」の柿落とし版ということになりそうだ。
そうなると、今回知事選で大きな争点となっていた「新たな学習拠点整備」はどのようになるのか、新知事の明確な考えをできるだけ早い時期に地元の方々に示してほしいものである。なんと言ってもこの県有地は戦後知事が替わるたびにその政争の道具にされてきたいわくつきの土地なのだから、これを限りにそのような道具にされたくないと考えるのは北口住民の本音であろう。
個人的な考えだがここは粛々と図書館を作ってほしい、無駄の無いスマートな図書館である。そしてランガナータンの言う「図書館の原則」にのっとった図書館にしてほしいと考える。幸いにも新知事の政策の中では「無駄なハコ物は止めよう」と言う事となっている、そして県立図書館の改築には取り組むとしているのだから、きっとこの地にはそのような意志が入った図書館ができるに違いない。
北口の拠点整備事業も佳境に入り全体像が見え始めてきた現在、ここから新たな甲府市の姿が見えてくるに違いない。そうなった時に「景観条例」の整備についても事前の用意をしておかなければ、都市100年の発展は考えられないだろう。
益々野中一二が活躍できる土壌が整ってきたように思えてならない。
メールマガジン『野中一二の人は石垣、人は城』 平成19年02月03日・第159号所収